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4)一応気に入った場合でも、その場で直ぐ購入しないで1〜2週間貸出してもらい、様々 な場面で試し聞きして納得した上で買うようにするべきです(認定補聴器店などでは、そのようにするのが当然です。医師からの紹介状にも貸出し依頼を書いてもらって下さい)

5)補聴器の効果の限界(表1):

 

表1 補聴器の限界

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これは医師、販売者が本人、家族に、補聴器の説明に際し必ず触れる責任があることですが、「補聴器をうまく適合すれば正常耳と同じように聞こえる」というような過大な期待を持つのは補聴器使用に失敗する大きな原因になります。このような期待は聴覚障害や補聴器に関して知識のない難聴者および家族が持つのは全く無理からぬことですが、現実は期待の30%〜80%など、その人の障害の程度や難聴を起こしている部位や原因、言葉の内容を理解する脳の働き、補聴器を使用する場面(騒音の程度、種類、反響の多さなど)などによって異なり、期待が大きければ大きい程、落差が大きく、補聴器使用の最も根本となる意欲を喪失させる危険が大きいのです。
従って補聴器購入に際し、聴力検査、補聴器適合検査、補聴効果の評価の結果および目的とする使用場面の環境条件などを総合して、使用効果が大凡そどれ位かの予想を聞いて過大な期待を持っている場合は改めることが其の後の成功への重要な前提となります。過大な期待を持たせる責任は広告の表現にもあります。知識のある者が読めばその補聴器の適応できる聴力障害の範囲に関する但し書きに気付きますが、一般の人には用いられている用語の意味が理解できず、自分の障害の程度も分っていないので、広告に並べられた様々な性能の表現だけを見て、その効能を期待して、通信販売にも応ずることにもなります。
将来の老人では、そんなことはなくなると思いますが、60歳以上の老人の中にはコンピュータという文字があれば不可能も可能にするように思い込んでコンピュータがどんな難聴でも、どんな音環境の中でも言葉の聞きとりを自動的に保証するというような意味の広告をそのまま信じ込む人も少なくありません。正常人すら聞き分けにくいような劣悪な条件下で難聴者が、言葉を聞きとれるようにする補聴器などは存在しません。本書の他の章で述べられるように補聴器を必要とする感音難

 

 

 

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