・多くの部品形状を摩擦攪拌溶接で組み立てることが可能。
・寸法が大きすぎて押し出しが難しいとか、溶融溶接では歪みが出ると云った軽量押出パネルは摩擦攪拌溶接で大形構造物に仕上げることが出来る。例えば、船舶の甲板などが挙げられる。
・マニホールドのような中空鋳物と作ることが難しい場合2個の簡単な中実鋳物または作り易い押出形材を摩擦攪拌溶接で容易に作れる。
・突合せ及び重ねシーム溶接はシートメタルまたは鋳物及び押出形材相互で可能であり、プレスしたパネルを摩擦攪拌溶接で自動車フレームに取り付けることが出来る。
5・3 製品の品質保証
工程はすべて機械化されているから、溶接作業と溶接エネルギーのインプットは正確にコントロールされる。:
・溶接の品質は攪拌溶接機の形状と据え付けた機械的器具の作動に左右される。従ってもし機械の作動が選定した据付けからずれた場合には簡単な工程監視を使って溶接作業を止めさせることが可能である。
・溶接作業は機械的であるから、各機械の据付けデータの監視はデジタル化出来、各溶接の経歴が必要ならこれを保管することが出来る。
・溶接接面は溶接前に密着させてはならない。ギャップは大きめ例えば1.6mmのシートに対しては0.2mm、12.7mmの板に対しては1.25mmでよい。
5・4 安全性
溶接作業には普通の切断機(ミリングタイプ)のガードだけでよく、環境には優しい。工程はクリーンであり、溶接のヒュームや放射線などのような安全を阻害する危険性はない。
6. 摩擦攪拌溶接の欠点
或種のシートメタルに対しての単層溶接速度は機械化された溶融溶接のものより遅い。
現在のところ18mmまでの深さなら単層の摩擦攪拌溶接が出来る。
・もし全厚溶け込みが必要な場合には溶接金属の中断を避けるため、パーツは裏当て板にしっかり固着させておく必要がある。将来この問題を解決するためには、現在開発中の糸巻き式工具を使えばよくなると思われる。
・各溶接ランの終点では、ピンを抜いた場合孔が残ることである。大抵の場合他の溶接方法(固体相溶接のままにしようとする場合には摩擦テーパープラグまたはアーク溶接による)でとの孔を埋める必要がある。
・板の端から他端まで連続溶接が必要な場合には、ランオン/ランオフ板が必要である。このような板を使う場合、溶接品質を保つためには必要な熱量の発生とその伝播を確実にするための特別な工程を考慮する必要がある。