して固体状の溶着を形成するに至る。この現象はすべてその合金の融点よりも低い温度で生じる。そうして固体状態の継手が出来ると云う訳である。厚さ18mmまでのアルミニウム合金の突合せ継手はこの方法で出来て来たのである。
4. 摩擦攪拌溶接によるアルミニウム合金の溶接特性
6082合金の6.4mm厚の突合せ継手の横断面(厚さ方向に対して横)は典型的固体状摩擦攪拌溶接が形成されたことが示される(図3)。要するに、溶接は、微細な結晶粒を持った塑性化した鍛造組織の連続性のある凝固態の溶着金属から形成されていると云うことである。
摩擦攪拌溶接によって生じた固体相溶接はアルミニウム合金の溶融溶接と較べた場合、次の三つの冶金学的利点があると云うことである。即ち、固体相での接合は溶融溶接の過程に伴いやすいき裂例えば波状化や固体化き裂のようなき裂発生がなくなること;溶着金属の蒸発による合金要素のロスが無いから合金成分をそのまま保持出来ること:溶接器具の圧入、攪拌及び鍛造作用によって母材よりも微細な粒状組織が溶着金属に形成されることである。
後者は一般に溶接しばなし状態ではHAZ(熱影響層)が過大となって溶着金属強度を上げるものである。5083合金で行った溶接の引張試験結果を表1に示す。