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るからパイ形材は必要最小限にとどめ、半パイ形材あるいは溶接構造とすることが多い。

12)水密隔壁の構造は普通の構造と同様にして、船底フロアプレート、船側トランス、甲板トランスを付け、最後に隔壁板を差し込む方式が作業中の交通には便利である。

 

10. まとめ

以上パイ形材を使用しての船体工作法の概要を紹介した。筆者がパイ形材を使用して、全溶接構造のアルミニウム合金船の建造を開始してから、略々20年になろうとしている。大手の造船所でのアルミニウム合金船が建造されるようになってから、10年にはなると思う。
パイ形材の利点は少しずつ理解を得て来ているようである。大手造船所での使用は等厚平板形式のパイ形材が多いようである。筆者の提案は不等厚板形式のもので、これによって重量軽減を図るのが利点の一つである。等厚平板形式のパイ形材の利点もあるからと思うが、本当の理由はよく判らない。不等厚板形式では、テーパがあるので、スロットの個所の工事が面倒になるとの説明も聞いたことがあるが、納得が行かないでいる。また、或小規模造船所では、むしろ不等厚タイプの方が、溶接組立時の歪み発生が見られないから、重宝しているとの好評も戴いた。本当の理由は適当なパイ形材がタイムリーに入手出来ないからと云うことも聞いたことがある。
それぞれの造船所の事情によって違うのは当然であろう。これまで、パイ形材を認識して来られなかった方も多いであろう。この講習を受けられて、納得の行かれた方もそうでない方も一度実際に使用して、利点・欠点を把握され、よりよいアルミニウム合金船の建造を図って戴きたい。

 

参考文献

金子幸雄・竹内勝治著:アルミニウム合金製漁船の建造技術 (財)軽金属溶接構造協会1994.10.発行

 

 

 

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