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め必要本数のパイ形材を床面上に配列し、パネルとしても寸法を検査してから溶接することが望ましい。 2.で述べた通りである。

(1)縦方向突合せ溶接装置

配列したパイ形材を仮付け後、1方向からミグ溶接を行うと、横収縮(回転変形)を生じ、幅方向の接合でのスチフナーが揃わなくなる恐れがあるので、溶接順序に注意すると共に、拘束を強固に行わなければならない。

拘束治具が無い場合には「重し」でもよいが、溶接能率、溶接品質の見地から、出来れば拘束装置を利用することが望ましい。一例として、門形フレームに、油圧シリンダーを組み込んだ拘束装置とステンレス鋼製裏当て金から構成される、裏当て装置との組合せを紹介しておく。この考え方は、

(i)板部の厚さ6mmまでは、片側1層ミグ溶接とし、安定した裏ビードを得ること。→コスト低減

(ii)装置本体はH形鋼で、溶接組立構造とし、簡単に設置・撤去ができること。

(iii)溶接トーチは、台車走行方式とする。→溶接品質の安定(自動溶接)を目的としている。

特に重要であるのは、(i)項である。普通行われている両面一層ミグ溶接では、

 

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と7工程が要り、中その段取り時間なども含めた溶接長さ1m当たりの所要時間を算出すると、普通1時間〜1時間30分にも達する。これに対し、片面一層ミグ溶接を採用すると、

 

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となり、反転、裏はつり、裏面溶接の各作業が省略でき、溶接長さ1m当たりの所要時間は、両面一層ミグ溶接の約三分の一となる。すなわち、大幅に作業能率が改善され、したがって、コストの大幅低減につながる。

門形フレーム拘束装置に油圧シリンダーを組み込んだ構造の概念図を図2に示した。門形フレームのスパンは、作業場の実状に合わせる必要もあるが、12m前後とするのが適当であろう。

 

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図2 門形フレーム

 

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図3 拘束装置と油圧シリンダー

 

 

 

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