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パイ形材の工作法

1. まえがき

パイ形材は一般に幅600mm、長さ10m〜12mのサイズのものが市販されている。防撓材は300mmピッチが普通であるから、防撓材2本付の平面パネルと云うわけである。造船所によって建造法が異なるが、ブロック建造法を採用している所では、板と防撓材の溶接からパネルの小組が始まるから、パイ形材を採用した場合この工程が省略出来、小組時の歪取りも不必要である。その後の工程はパイ形材の幅方向の溶接であり、所要の幅まで何列かの溶接工事が必要である。この場合平面やこれに近い曲面なら自動溶接を並行させて一斉に溶接すれば、容易に所要の平面ブロックが出来、大骨(横桁)をパイ形材上に並べて下向き溶接をすれば、平面ブロックが完成する。従ってブロック建造法に馴れた造船所では特に変わった工作法を取らなくても良い。
ブロック建造法に馴染みの無い造船所では、これまでの組立順序や工作手順を大幅に変える必要がある。例えば、骨組みを完全に終えてから板張りに取りかかる工作法では船体形状保持治具の役目を骨組みがしてくれるから、治具が不必要になることと、板張りの前に縦横の小骨や大骨、隔壁貫通部などのカラープレート、ブラケットなどの溶接施工は楽になる利点はあるが、板の引き込み、相互の溶接の環境は良好とは云えない。
こう云った諸点を考慮しながら、パイ形材の工作法を解説する。お断りしておきたいことは、紹介する方法が唯一と云う訳ではなく、造船所の設備、パイ型材の寸法、或いは建造する船の大きさにも大きく左右されることである。この解説を叩き台にしてよりよい建造法を自分のものにして戴きたいのである。一応建造順序に従って解説する。

 

2. パイ形材の精度チェック

パイ型材はJISあるいはJIS特級に合格したものが入手された筈であるが、パイ形材のロットの違い、同じロットでも押出しの始点と終点では微妙に寸法の差が出てくるものである。特に防撓材のピッチはよく寸法をチェックして巧く組み合わせないと、防撓材ピッチの誤差が集積されて、ブロック端で修正が効かなくなった例もあるから要注意である。この他各部の公差についても造船所としてチェックしておく必要がある。

 

3. 縦方向の突合せ溶接

パイ形材は幅が600mmまたは500mmであるから、これを所要パネル幅にあらかじめ溶接接合する。例えば,幅1800mmにするには,幅600mmのパイ形材3本を平面で突合せ溶接する。その際には、必ず抑え治具を使用し、ミグ片面1層自動溶接(または、両面1層溶接)とする。仮付け溶接ピッチは300mm以下とするのがよい。(図1参照)。縮み代を見る場合601または602mm幅のパイ形材にしておく場合もある。

なお、パネルを形成する場合、あらかじ

 

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図1仮付け(ピッチ300mm以下)

 

 

 

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