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付録 D

長崎総合科学大学工学部工学研究センター所報第10号

不等厚板の設計法(その2)

 

金子幸雄

 

A Proporsal to Designing Non-uniform Thickness Plating

(2nd Report)

Yukio KANEKO

 

Abstract

 

The author propsed a design method of both ends tapered panel plates which are mainly applicable to shell plating of high-speed boats.However, this was only within elastic zone of plating. This report concerns the method of design based on the Japanese Government's Rukes (Tentative Rules for Light-structure Craft) which requires the load to yield plastic hinges. And II (pi)-shaped extruded panels which are effective for aliminium alloy ship hulls are treated.

 

1. 諸言

著者は先にアルミニウム合金船の船体構造部材の合理化の一方策として、外板や甲板のような防撓パネルのスチフナと板とを一体化した押出形材所謂パイセクションの採用を提案し、其の中でも板の部分の厚さにテーパを付することにより大幅な重量軽減が達成出来、このテーパ付板の設計法を紹介した。この場合設計の基礎は弾性範囲に限ったものとした。しかし実際の船舶設計に当たっては、我国の現行規則に従う必要があり、中でも高速艇の大部分は運輸省の軽構造船暫定基準によることが多い。
この基準では制定当時の流行であった塑性設計法の考えが採用され、部材の断面係数には塑性断面係数が大幅に採り入れられている。その後これに続く基準の軽構造船基準(案)では一般に使用されている弾性断面係数に改められた箇所も少なくないが、外板や甲板等の板については、軟鋼やアルミニウム合金のような展伸材に適しているとして、塑性ヒンジの発生モーメントがそのまま残されている。本報告は実用上の見地から前報に対する追加として塑性ヒンジモーメントに対するテーパ板の設計法を紹介し、アルミニウム合金船の合理化への寄与を期待したものである。

 

2. パイ・セクションとは

 

048-1.gif

Aタイプ

 

048-2.gif

Bタイプ

図1.パイ・セクション2種

 

船体構造の皮材(外板、隔壁、甲板など)と骨材(スチフナー、ロンジフレーム、ロンジビームなど)を隅肉溶接により接合するのが一般的な建造法であって、鋼船で広く採用されて、アルミニウム合金船でもこれが踏襲されているが、アルミニウム合金の良好な押し出し性能と云う特徴を生かし一体に押し出したもので、骨材が2本のものをその形状からパイ・セクション或いはパイ形押出形材と一般に呼ばれている。実用されているものは図1に示すAとBの2種に大別される。

 

 

 

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