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JIS F 2008-1997

 

船用アルミニウム合金押出形材 解説

 

この解説は,本体に規定した事柄及びこれに関連した事柄を説明するもので,規格の一部ではない。

 

1. 制定の目的 最近,高速旅客船の需要が高まりつつありちこれら高速船の建造に関しては,軽量,耐食性,建造・加工の容易性,工数の低減,材料のリサイクル性などに関して優れた特徴をもつアルミニウム大形押出形材(略して,パイセクション)が使用され始めている。

しかしながら,実際に使用されているものは寸法,形状,製造精度などでばらつきがあり,建造時(溶接など)や使用時に不便・不安が生じているので,統一標準化を図った。

 

2. 制定の経過

 

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3. 規格の概要及び要旨 アルミニウム合金船の建造過程における難点は,溶接とひずみ対策であるが,アルミニウム合金は鋼と比較して良好な押出性能をもつことから,押出形材を船体構造に多用することによって,ひずみが発生しやすく欠陥の生じやすい隅肉溶接を減少させ,建造の合理化を図ることを目的とした。

従って,この規格の規定内容は,従来から使用されていた押出形材を統一したばかりではなく,使用者の強い要望に基づいて,さらに精度,品質の向上などの合理性をねらった規定内容となっている。

その他,機械的性質については,次の事項を参考にするとよい。

(1)船の外板などに使用するアルミニウム合金5083-H112及び5083-Oの押出形材の耐力については,現行のJIS H4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の質別記号)の規格では110N/mm2であるが,船体に用いるパイセクションの従来の設計耐力の基準として,13kgf/mm2が慣例となっていたことを考慮し,これをSI単位に換算したものである。この耐力値の125N/mm2についてはパイセクションの実績も調査しJIS H 4100とISO 6362-2(Wrought aluminium and aluminium alloy extruded rods/bars,tubes and Profiles Part 2:Mechanical Properties)との整合化の動向をにらんだものである。

(2)5083のH112では,普通,溶接継手(パイセクション相互の突合せ継手)部分の強度は母材と同等であるが,溶接技術などによっては母材より強度が低下し,母材の規格値を下回る場合には,この点に留意することが望ましい。

(3)設計段階において,パイセクションに加わる荷重による応力の発生が低い部分に,溶接継手を使用するなどの配慮をすることが望ましい。

(4)本体表2に関して,PI-02がPI-01に比べて断面2次モーメントなどが小さいのは,本体図1のBbとDbがPI-01に比べて小さいからであり,逆に板部の設計水圧がPI-01より大きいのは,Tm,Hr,BrがPI-01より大きいため

 

 

 

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