パイ型材の計算プログラムについて
パイ型材の特徴は、板部分の厚さを最適化して、重量軽減が図れることにあることは既に説明した通りである。不等厚板の計算はやや面倒であるから、これをプログラム化して、簡単に設計に応用出来るようにしたのが、添付のプログラムである。このプログラムはN88-BASICで書いてある。少々古いソフトに属するから、多少不便であるかも知れないが、移植は簡単であるから、ここに紹介しておく。
このプログラムは3種から成り立っている。
PAISECT.♯1と#2とは不等厚板の強度計算であり、#3はスチフナーの断面性能の計算である。
PAISECT.#1は不等厚板の弾性強度計算で、材料のヤング係数、ポアソン比、材料の比重、設計荷重、スパン、端部板厚、中央部板厚、テーパー部幅をインプットすれば、板部重量、撓み、膜力、端部応力、中央部応力、テーパー部の最大応力とその位置(端部よりの距離)がアウトプットされる。この三個所の応力が許容応力内にあれば、よいことになる。必要なら、各部の応力もアウトプットは可能である。高速船構造基準の場合適用される。
PAISECT.#2は不等厚板の塑性モーメントの計算である。インプット・データーは#1と同じである。ただし、材料の降伏応力と安全率をインプットする。降伏応力/安全率=設計応力としてあり、この設計応力を降伏点として塑性モーメントを計算する。各部の曲げモーメントが塑性モーメント以内にあれはよいから、塑性モーメント/曲げモーメント=余裕度として、アウトプットさせる。端部、中央部、テーパー部の三個所の余裕度が何れも1以上なら合格である。尚必要なら各部の弾性応力もアウトプット出来るようにしてある。設計荷重を大きくして行くと当然乍ら、降伏点(この場合は設計応力)で頭打ちになる。これは塑性設計の基本仮定である。しかし実際は伸びが無限大にはならないから、弾性応力が等価弾性応力の限界値で破壊すると考えるのである。このプログラムは軽構造舶暫定基準の場合に適用される。
PAISECT.#3はスチフナーの断面性能すなわち、比重、有効幅、パイ型材の諸寸法をインプットすれば、パイ型材の1m当たりの質量、断面二次モーメント、断面係数、塑性断面係数などがアウトプットされる。