日本財団 図書館


両生類は陸にあがったとはいえ、水辺を離れて暮らすことはできませんでしたが、やがて完全に陸上生活に適応した皮膚、肺呼吸、固い殻をもった卵を得て、爬虫類が生まれ、その鱗を毛にかえてほ乳類、羽にかえて鳥類が進化したわけです。ほ乳類はモグラなどの食虫目、ネズミやリスのようなげっし目、イヌ科やネコ科を含む食肉目など、現在約20目に分類されていますが、恐竜が繁栄していたジュラ期の初期のほ乳類は、現在のモグラのような生物で夜行性、嗅覚中心に活動していました。その一部が、やがてサルに進化し、その一部がヒトに至ります。なお、現在もほ乳類は夜行性で嗅覚中心のものが多く、むしろヒトは例外的なほ乳類といえます。

 

(3) ヒトの分類

ヒトの分類は、脊椎動物門―ほ乳網―霊長目―ヒト科―ヒトとなり、現在約200種が知られる霊長目の1種です。霊長目はさらにキツネザルのような原始的な原猿亜目と真猿亜目にわけられます。後者は平らな顔、すぐれた視覚、大きな脳が特徴で、ニホンザルを含むオナガザル科もここに位置します。中でも類人猿と呼ばれるテナガザル科とショウジョウ科がヒト科に近縁で、特にショウジョウ科のチンパンジーとヒトの遺伝子は98%が共通しているといわれます。

ほ乳類の主な特徴として、皮膚に毛をもち、恒温性で、乳で子育てすることなどがあります。ちなみに私たちの頬も、お乳を吸うために発達した器官と考えられます。

 

4. 自然のしくみ

 

(1) 多様性と関連性

生態系概念は、「自然と人との共存」においても基礎になります。

バードウォッチングや自然観察の体験からそれを理解するには、「さまざまな生物がいて、生物同士、あるいは環境と生物のつながりがある」という自然のしくみの理解がポイントになると思われます。

そのために、『あなたもバードウォッチング案内人』では、自然を知るための3つの視点として、45ページから「多様性」「関連性」「神秘性」を提唱しています。ここでは4つ目の視点「地域性」も加えて解説しますが、これらは、野鳥や自然に親しむ中で理解されやすいように、観察のポイントとして表現したものです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION