3.2 詳細検討
3.2.1 無線LAN
1]地上保安伝送装置は、当該通信ゾーンに進入している車上保安伝送装置と、隣接した他の地上保安伝送装置との間で、小送信電力無線LANによって情報の授受を行う。
2]地上保安伝送装置は、隣接した両側それぞれに対して、2台以上の他の装置と通信が可能な位置に設置する。これによって、通信異常時のための回線の冗長構成と、装置故障時のための装置冗長構成とする。
3]車上保安伝送装置は、列車の前部と後部に各1台設置した2重系構成である。また、1台の車上保安伝送装置は、2台以上の地上保安伝送装置との情報の授受が可能である。
4]保安伝送装置間の伝送は、TDMAによって行う。TDMAは、運動駅に設置された装置が親局となり、管理する領域(制御ゾーンという)に設置された子局および当該制御ゾーンに進入した列車に対して、タイムスロットを割り当て、無線LANを構成する(詳細は3.2.1.1項参照)。
5]地上保安伝送装置は、情報の中継伝送機能によって、各装置間の情報の伝達を行う。また、情報の増大を防ぐため、情報の種類に応じて中継する範囲を制限する。
a) 列車の速度制御に必要な情報(速度制御情報)
速度制御パターンを作成するために必要な情報は、必要最小限の範囲の中継伝送を行う(詳細は3.2.2項参照)。
b) 運行管理情報
必要な範囲で中継伝送を行う。
(イ)現場列車情報:親局または子局→中継→中央
(ロ)運行管理指令情報:中央→中継→親局または子局
3.2.1.1 TDMA通信
1]TDMA通信の概念を図3.2.1-1に示す。
2]TDMA通信では、各局が送信するタイミングが、互いに衝突して通信の障害とならないように、同期をとることが必要である。同期のための時間基準は、親局によって管理し、これを基準にしてTDMAフレームを定める。親局の制御ゾーンに設置された子局は、フレーム内にあらかじめ定められた時間幅(タイムスロット)を用いて、送信を行う。
3]隣接した制御ゾーン間は、互いに衝突して通信の障害とならないように、異なる周波数を割り当てる。
4]制御ゾーンの境界付近の子局(境界局)は、隣接した制御ゾーンの受信を行うため、2種類の周波数に対応した受信器を組み込んだ構成とする。これによって、制御ゾーン間の伝送を行う。