-2. 船内の主機や発電機などの補機、通風機の空気摩擦音などが発生源となることも多い。機器類の振動による二次音及びプロペラ音は可聴音であり魚類も十分感知することが出来るので、漁船などでは低減する必要がある。振動音に対しては振動源となる機器について防振ゴムを介して装備するなど振動の伝達を遮断するほか、船体部に振動抑制材料を貼り付けて水中放散量を低減する方法がある。
-3. プロペラは、軸回転数とプロペラ翼数の積で示される基本周波数音のほかに、カルマン渦キャビテーションなどの流体としての高周波音を発生する。プロペラ音を減少するためには、1]プロペラ翼数を増加する、2]翼先端速度を下げる、3]チップの形状を変える(キャビテーションに対して)、などの対策が有効である。
また、中空の推進軸の場合、空洞部分が共鳴して鳴音を発することがあるが、空洞部に砂などを充填して防止するなどの対策がある。
-4. ソナーなどの装備位置は推進機関、プロペラなどの音源からなるべく遠くにするために船首に近い方がよい。特に船首に突き出した流線形のドーム内に装備すれば、有効である。しかしながら、出入港の際の接岸、投錨、抜錨の際に邪魔になるので、ソナーなどは、通常、船首から 1/3〜1/4 の所に装備する。水中観測用の音響機器を装備する特殊な船では、自船の放射する水中雑音を低減する必要があり、僅かな雑音の発生源でも取り除くか、あるいは低減する配慮が必要である。
6-5-2 水中雑音の測定
水中雑音は、船底などに装備されるトランスジューサなどを介して電気的信号入力として検知されるので、機器の設計時にはセンサーの周波数特性と水中雑音の周波数分布に関して考察することが重要である。そのためには水中雑音を測定することが必要である。
水中雑音特性把握のために検知器としては、平坦な特性をもつハイドロフオンを使用して、センサーの周波数特性に対応した周波数帯域において精密に測定する必要がある。
しかしながら通常の船舶では、航走中の自船の発生雑音は周辺雑音との区分けが困難であるので、殆ど実施されていないようである。