このような電磁環境に曝されている機器は、最悪の場合は機器が誤動作をしたり、壊れることがあるので、電磁環境をできるだけ汚さないようにすることが、EMCとしては重要である。(EMCについては設計編 12.1.1 を参照)
このため、SOLAS条約第III章、IV章及びV章で船舶に装備が義務付けられている航海及び無線通信機器とそのシステムについては、IEC 60945(3rd Edit.)で、電磁的両立性の試験方法及び要求される試験結果の規格が制定されている。わが国においても型式承認試験で取り入れる方向で検討が進んでいる。
[参考1]
CEマーキング(<図 6-3-1>の左図)が付されているものは、上記(下記[参考2」)の試験に適合していることを示している。特に、EU/EFTA(欧州連合/欧州自由貿易連合)船籍の船では、SOLAS条約で装備義務のある舶用機器で型式承認試験に合格したものには、CEマーキングに換えて舵輪マーク(<図 6-3-1>の右図)が付されている。
[参考2]
IEC 60945の電磁的両立性試験項目は、次のとおりである。
(1) 電磁妨害波
(a) 伝導妨害波
10kHz〜30MHzの周波数範囲で行い規定値以下であること。(測定方法はCISPR16-1 で定められている)
(b) 筐体からの放射妨害波
150 kHz〜1GHzの周波数範囲にわたり筐体から3m離れた地点での放射限界値が規定されている。(測定方法は同上)