静止衛星から送信される12 GHz帯の電波はBSアンテナで受信され、BSコンバータ内の低雑音増幅器で増幅された後に1GHz帯のBS-IF信号に周波数変換して出力され、船内のBSチューナや船内共同視聴システムに供給される。12GHz帯の電波は直進性が良く光に近い性質を持っているので、雷雨や集中豪雨など激しい降雨時には一時的に受信不良となることがある。
日本の衛星放送の電波は、日本の地形に合わせてパターンを絞って放送されている。
特にハイビジョン放送は、MUSE方式(多重サブナイキストサンプリング)と呼ぶ信号処理方式(1枚の画面を4画面に分解して送信し受信側で合成する)を採用しているため普通のBS放送より大きなCN比(*)が必要なため受信エリアは狭くなる。
(*)CN比とは、受信アンテナのコンバータ出力における搬送波(Carrier)電力と27MHz帯の雑音(Noise)電力との比で、デシベルで表わされる。
衛星放送にはこのほか通信衛星を利用したもの(CS放送)があり、衛星位置及び使用電波が異なるので、専用の受信装置が必要となる。これら衛星利用の放送はアナログ方式からデジタル方式へと順次移行されており、画像品質などサービスの向上が図られている。
「BS」受信装置の構成の一例を<図 5.5.1>に示す。