3.10 無線方位測定機
無線方位測定機は、電波の到来方向を測定する装置である。本装置により遭難船からの遭難信号電波(2,182 kHz )を受信し、その方向を測定して目的の方向へ直行する(ホーミング航法という。)ことができる。遭難信号電波のホーミングは、船首から±30度が分かればよいことになっている。この周波数は、大型船の場合、船体の影響を大きく受け易く、全周方向にわたるホーミングが技術的に難しい点から、測定条件が緩和されている。
漁船などは、遭難信号受信時のホーミングに加え、漁網に取り付けたラジオブイからの電波(1.6〜2 MHz帯)や僚船からの電波を測定し、電波の発信源へ直行するホーミングにも使用される。
この装置を新設する際には、海上試運転の時に、方位誤差修正試験を行い、方位誤差修正表の作成・提出が必要である。誤差修正試験は、通常、ビーコン帯と2MHz 帯の2周波で実施される。
過去においては、この装置は自船位置の特定に効力を発揮したが、GPSが普及した現在はその用途はなくなっている。
標準的なものの電気的特性の例は、次のとおりである。
(a) 受信周波数範囲:285 kHz 〜13.6 MHz
(b) 受信方式:スーパーヘテロダイン
(c) 空中線:ループアンテナとホイップアンテナ
(d) 指示方式:ゴニオメータ式ブラウン管全方向プロペラ型直視式