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GMDSSが実施されるに当たり、この旧型の装置は、条約によれば「1992年2月1日前に船舶に備えたVHF無線電話装置であって、IMOが採択した性能基準に完全に適合しないものについては1999年2月1日までは主管庁はその使用を認めることができる。この場合、その設備は承認された双方向VHF無線電話装置と両立性があると主管庁が認めたものでなければならない」となっている。これを受けて、船舶安全法の船舶救命設備規則の付則では「(前略)旧救命規則第79条の2に規定する船舶に現に備え付けられている双方向無線電話装置(略)であって旧救命規則の規定に適合するものは、管海官庁が差支えなしと認める場合には、これを引き続き当該船舶に備え付ける場合に限り、平成11年1月31日までの間は新救命規則の持運び式双方向無線電話装置に係わる規定に適合しているものとみなす」と規定され、また、電波法の経過規定では「平成4年1月31日までに無線局に備え付けられた双方向無線電話(450MHzを超え467.58MHz以下の周波数を使用する双方向無線電話を除く)の条件は、新規則の第45条の3の4の規定にかかわらず、平成11年1月31日までは、なお従前の例によることができる」とこれを認めている。

 

2・8・3 双方向無線電話装置

持運び式双方向無線電話装置及び固定式双方向無線電話装置(電波法では区別なく双方向無線電話)は、船舶の遭難時に、生存艇に避難をするときなどに生存艇相互間の連絡、生存艇と本船間(本船はそのVHF無線電話装置でも、双方向無線電話装置の内の1台を使用してもよい)及び救助船と生存艇間の連絡通信に使用される小型の無線電話の送受信機である。名前の示す通り、その種類としては、常時は操舵室などに格納しておいて非常の際に取出して使用する持運び式のものと、予め救命艇などの生存艇に固定装備しておくものとがある。この無線装置で持運び式のものは他の遭難用の無線装置とは異なって、必要に応じて船内通信用などにも使用できるものとすることも可能である。

この両双方向無線電話装置は、VHF無線電話の無線通信規則(RR)の付録第18号で規定されている中から、16チャンネル(156.8MHz、遭難、安全及び呼出し)を含む2波以上(普通は15チャンネルと17チャンネル)を備えることになっているが、より多くのチャンネルを備えることは自由である。RRの付録第18号では、船舶間の通信は、同じ周波数を送受切換で使用することになっており、この双方向無線電話装置も“プレストーク式”の無線機で、空中線、マイクロホン及びスピーカー、電源電池などが一体のものとなっているが、固定式の空中線は当然別装備になり、送受話器が一体となったハンドセットを別に備える場合もある。

 

 

 

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