(n) 電 源
1] 電源は装置に組み込まれていること。更に、外部電源を使用して装置を動作させてもよい。
2] 電源は送受の比率が1:9という最高の率の電力で8時間動作できる十分な容量を持つこと。この送受の比率は、6秒の送信、上述のスケルチを開いたレベルの上での受信と48秒のスケルチを開いたレベルの下での受信と定義されている。
3] 持運び式双方向無線電話装置は1次又は2次電池を備える。1次電池は少なくとも2年の保管寿命があること。
4] 2次電池を備えるときは、遭難の状態が生じたときに完全な充電での利用ができるような適当な装備がなされていること。
(o) 表 示
一般要件の決議に規定されている項目に加えて、装置の外面に次の事項をはっきりと表示すること。
1] 簡単な使用方法
2] 1次電池の場合はその寿命期限
2・8・2 固定式双方向無線電話装置
固定式双方向無線電話装置の場合も同じIMO総会決議にその性能標準が規定されているが、かなりの部分が持運び式と共通であるので主要な相違点のみを掲げる。
(a) 固定式は船内での通信用には使用されない。
(b) 装置の構成は一体型でなくてもよく、送信機、受信機、空中線、プレストークつきのマイクロホンとスピーカーで構成されていればよい。
(c) 1d項の3]4]9]11]12]13]の要件がなく、別に生存艇でおきる衝撃と振動に耐えること、生存艇に容易に取り付けができるよう設計されていること、という規定があり、角部での損傷が人体に対してのみになっている。
(d) 制御器と表示器の項では次の規定がある。ハンドセットが備えられる場合には、スピーカー用の手動のボリューム制御器はハンドセットのオーディオ出力に影響をしないこと。
この双方向無線電話装置は、GMDSSに先だって、SOLAS条約の2次改正、すなわち、救命設備関係の改正の際に導入され、船舶安全法の船舶救命設備規則では、持運び式や固定式の付かない単に双方向無線電話装置(電波法では現在と同じ双方向無線電話)と呼ばれている。現在の装置の主たる相違はその使用周波数で、チャンネル16を中心とするVHFの他に、船内通信に使用される460MHz帯からも選べるようになっているほか、VHFの装置の規格も相互通信は可能ではあるが、他のVHFの装置からは一部緩和されていた。