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2・6 極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置

2・6・1 非常用位置指示無線標識システム

非常用位置指示無線標識装置(Emergency Position Indicating Radio Beacon)は略してEPIRBと呼ばれており、船舶用の遭難信号を発信する小型の送信機で、遭難船舶や救命艇及び救命いかだなどの生存艇で送信をするものとがあり、何等かの測位機能と関係し、次のような各種のものがある。

1] SOS発信器、SOSブイと呼ばれているわが国独自のシステムで、船舶安全法上では「遭難信号自動発信器」という名称である。2182kHzの無線電話の遭難周波数で無線電話の警急信号とコールサインが送信され、持運び型と浮揚型とがある。この他に2091kHzでモールス符号のSOSなどを送信する旧型もまだ使用されている。これらの発信器は電波法では遭難自動通報設備と呼ばれていたが、平成3年7月から「非常用位置指示無線標識」と呼ばれることになった。

2] 二番目は、1986年7月に発効したSOLAS条約の救命設備関係の改正によって導入された、元は航空用の遭難信号であった121.5MHzと243MHzのものを送信する持運び型の送信機である。この装置は船舶安全法では、1]に近い「非常用位置指示無線標識装置」と呼ばれているのに対して、電波法では「生存艇用非常位置指示無線標識」と呼ばれている。

3] GMDSSでは、3種類の非常用位置指示無線標識装置が新しく導入されている。その第一は、VHFのチャンネル70でDSC信号を送信する自動浮揚型VHF非常用位置指示無線標識装置である。この型の装置はA1水域のみを航行する国際航海の船舶にのみ適用されるので、わが国では導入されないことになっており、船舶安全法、電波法とも規定されていない。

4] 第二は、A1からA4までのすべての水域で使用でき、コスパス・サーサットの衛星が受信をする406MHzで動作をする自動浮揚型の非常用位置指示無線標識装置である。船舶安全法では「浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置」と呼ばれており、この他に「非浮揚型極軌道衛星利用非常用位置指示無線標識装置」も規定されている。

 

 

 

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