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6] 無指向性の空中線を使用するときは、その空中線は、実効可能なときには設備の性能に重大な低下を招かないよう、船首尾方向は-5°以内、左右舷方向に-15°以内に障害物のない位置に取付けること。無指向性の空中線の場合は、特に空中線の1m以内で2°をこえるシャドーセクタを与える物体は、設備の性能を大きく低下させるおそれがある。

7] 安定化装置をもった指向性の空中線を使用するときは、その空中線は、実効可能なときには、設備の性能に重大な低下を招かないよう、水平面下5°の仰角内に障害物のない位置に取付けること。20dB程度の利得をもった(インマルサットAの空中線に近い)指向性の空中線の場合は、特に空中線の10m以内で6°をこえるシャドーセクタを与える物体は、設備の性能を大きく低下させるおそれがある。

なお、この性能標準の中には、EGCの性能標準については、別に定めるものに適合、となっている。

(2) インマルサットA型船舶地球局設備

インマルサットAと呼ばれている船舶地球局の設備は、船上装置(Above Deck Equipment)と船内装置(Below Deck Equipment)の二つの部分から構成されている。船上設備は安定台上に取り付けられた直径0.85mないし12mのパラボラ空中線であって、船の動揺があっても常に衛星に向くようにされている。そして空中線には送信用Lバンド高電力増幅器と受信用のLバンド低雑音増幅器と送受切換え装置が取り付けられ、全体が低損失の保護用レドームの中に入っている。

船内設備は空中線制御装置、通信用周波数変換器、変復調器、回線制御装置、電源などから構成されており、これに電話、テレックス、ファクシミリ、データ端末機等が接続される。

IMOの総会決議A.608(15)Hz「双方向通信の可能な船舶地球局の性能標準」にはこの船舶地球局の要件が示されている。

この性能標準は大略次の通りである。

1] この装置は無線電話と直接印刷電信のできるもので、別に定めた環境条件などの一般要件に適合すること。

2] 外部の制御器で船舶局の識別を変更できないこと。

3] 船舶を通常操船する場所(操だ室)と遭難警報を行うために指定されたその他いかなる場所からも、電話又は直接印刷電信で遭難呼出しを開始し、行うことができること。さらに、無線通信のための部屋(無線室)が設けられる場合には、その部屋に遭難呼出しを開始する手段を備えること。遭難呼出しを開始する手段は、操作が容易であり、かつ、不注意による作動に対する保護の措置が取られていること。

4] 電波による危険の可能性に関する警告を適当な場所に表示するために、放射のレベルが100W/m2、25W/m2、10W/m2である距離を表示するラベルを空中線のレドームに貼りつけること。

 

 

 

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