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戦略2は2002年において進行を監視するために挿入されたチェック・ポイントを含みます。戦略2は初期の段階で時間の遅れを含むため、目標の導入時期を2010年とすることができないリスクがあります。他方、この戦略は公的資金調達のための経済コストと結果を抑制し制御することを可能にします。戦略2は導入の開始はほとんどすぐですが、チェック・ポイントまでは戦略1よりも緩やかに進行すると想定されます。戦略2において、国はチェック・ポイント前の時期を通じて活動の自由を留保したいため、エタノールのための生産設備の建設に際し、積極的な役割を演じないであろうと想定されます。現在と2002年までの間は、エタノール消費の大きな部分が、短期契約等で規定された輸入により賄われるでしょう。このことはエタノールの国際マーケット価格へのより大きな依存を生み出しますが、逆に生産プラントにおける潜在的に不完全な投資という結果を減らすでしょう。

戦略3はよりゆっくりとした導入を想定し、2002年のチェック・ポイントまではR&Dと実証作業に制限されます。戦略3は、これが2010年までの導入の目標を達成することができないことを意味しています。総コストを減らし、代替燃料の組み合わせとそれによるさまざまな代替燃料の生産と導入に関して公平な立場をとることができることを目的とし、これはチェック・ポイントまで、導入に関する決断のための必要性を延期するでしょう。

1997年にKFBは自動車を走行させるためのバイオ燃料の導入に関連したいくつかの問題の詳細を調査するという新しい指示を与えられました。この研究の報告書(KFB、NUTE、SIKA、1977)は、すべてのガソリンにエタノールを混合することは技術的には2002年までに可能とみられること、しかしながら、これは国民経済的観点および公的資金調達の観点から、相当なコストを必要とするとみられること、という結論を出しています。これに対して、より広い視点からの可能性が議論されましたが、バイオ燃料の量は低い混合の場合とほぼ同様でした。

2002年までにすべてのガソリンに混合するために利用できるエタノールの供給があるとすれば、そのエタノールは穀物をベースとすることが必要でしょう。このタイプの生産のための技術は現時点で利用可能ですが、国内の生産設備を建設するには時間がかかるでしょう。急速なエタノールの導入のためには、少なくとも初期の段階では、アルコールの輸入にかなり依存すると想定されます。

バイオ燃料はさまざまな方法で導入することができます。既存の自動車に関して、貯蔵ガソリンに低い混合率(5-6%)で直接混合することも技術的には可能であり、これは直ちに、運輸部門で使用されているエタノールの一定の量を占めることになるでしょう。このタイプの戦略は二酸化炭素の低い排出という形で、環境に利益を与えるでしょう。純粋アルコールとしての形でのエタノールは、都市部におけるバスや他の大型自動車等のような、より限定された自動車部門で導入することができます。これはより低い二酸化炭素の排出および都市でのより清浄な大気という形で環境の利益を提供します。第10章で示されたように、社会に少なからぬ利益を与えます。大型自動車でのバイオガスとエタノールの使用は、バイオ燃料の持つ環境面へのプラスの影響から、最大限の利益を引き出すでしょう。主に都市部での大型自動車を目的とした導入はまた、国民経済と公的資金調達に関連したコストを限定することも可能にするでしょう。

KFBはまた、導入戦略はいくつかの異なったバイオ燃料を開発するための広範な目的を持つべきことや長期的な視点が求められるということを述べています。このため、さまざまな作業の焦点と方向は、短期、中期および長期におけるさまざまな燃料、エンジンおよび自動車技術の可能性に関する長期の評価に基づく必要があります。

 

 

 

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