スウェーデンにおいては、エタノール自動車の開発に関する作業は、特にバスを中心とした大型自動車に集中され、スウェーデンとスウェーデンの自動車産業はこの分野での世界のリーダーです。当初はエタノールで走行するために改造されたディーゼル・エンジンが使用されました。開発作業が進行するにつれ、徐々に環境にやさしい自動車の登場につながる新しい世代のエンジンが開発されました(表6.1)。
バイオガス
バイオガスがバスやトラックのための燃料として使用される時に含まれる技術は、すべての基本において天然ガスの場合と同様です。懸案のエンジンのタイプは火花点火エンジンのさらなる改良型です。使用されるエンジンは、リーン・バーンの技術を使い運行される転換されたディーゼル・エンジンです(図6.2)。リーン・バーンの技術は非常に稀薄な燃料空気の混合、すなわち空気の量に比べ非常に少量の燃料しか含まない混合気の使用を含んでいます。これは燃料のエンジンヘの流量を正確に制御することを要求します。燃焼は低温で起き、比較的少量のNOx、COおよび炭化水素が発生します。COおよび炭化水素の量をさらに減らすために、酸化触媒が通常使用されます。バイオガスでの運行の場合には炭化水素の排出はほとんどの部分がメタンで構成されます。リーン・バーンは当量比燃焼よりやや高い効率性を持っていますが、性能は限られています。この点を補うために、リーン・バーン・エンジンはしばしばターボ・チャージャーを装着しています。図6.9は、燃焼中の空気と燃料の相対的割合を示す値であるラムダ値の機能としての排出ガスを示しています。・ガソリン・エンジンにおいてはラムダ値は約1ですが、リーン・バーン・エンジンでのバイオガスの燃焼のケースではラムダ値は1.6です。ラムダ値が1.6ということは、燃料の燃焼のために必要とされる量より60%多い空気が存在しているということを意味しています。
リーン・バーンおよび当量比燃焼のいずれもEGRを装着可能です。EGRはNOxの形成を減らし、エンジンの効率性もまた改善することができます。
結論
現在、小型および大型自動車の両方において、燃料としてエタノールあるいはバイオガスを使用するための技術が利用できます。しかしながら、技術的および環境的に健全な製品を獲得するために、これらの自動車はエタノールとバイオガスのすべての環境面の可能性を実現するために最適化される必要があります。このことはエンジンと触媒に関してさらなる開発作業を要求します。
エンジン開発の中心部分は燃料に着火促進剤の添加を必要としない大型自動車のためのエタノール・エンジンの最適化です。さまざまなタイプのそのようなエンジンは点火プラグと予熱プラグ等を含むシステムに基づくことができます。