しかしながら、現在利用できる最も近代的なエンジンからの排出ガスがどんなに少ないとしても、いくつかの解決すべき問題はそのままです。寒冷時始動と関連した排出ガスレベルは依然として高く、実際に低い温度でエンジンを始動させることは未だ問題のある作業です。燃料空気の混合はこの観点からは非常に大きな問題点です。かなりの可能性を持った新しい解決策が利用できるものの、それらはまだ完全には開発されていません。スウェーデンの小型自動車製造業者にFFVの開発とマーケットヘの投入について関心を持たせることも有意義なことでしょう。
フレキシブル燃料自動車に関する限り、今日の状況は、傾向は最も貧弱な燃料に対してエンジンを最適化することであり、このことはアルコール燃料がオットー・エンジンに提供している可能性が最大限には利用されていないということを意味しています。このため、アルコール燃料の持つ環境面の可能性の長所を最大限に引き出すため、必要なものは特定の燃料に対して最適化されたエンジンです。
図6.7は、近代的な伝統的エンジン技術およびより純粋なバイオ燃料の使用により提供された、さらなる可能性により、将来における燃料消費量の起こり得る変化を示しています。
ここ数年においてもうひとつの有望な開発の事例が登場してきました。すなわち直接噴射のオットー・エンジンです。しばしばGDI(ガソリン直接噴射)として知られるこのタイプのエンジンは、現時点ではガソリンでの使用の場合のみ商業的に利用可能です。しかしこれはおそらくアルコールで走行できるようにかなり簡単に修正されるでしょう。従来のガソリン・エンジンに対してこのエンジンが持つ大きな長所は、燃料消費量の劇的な削減です(特に低負荷、すなわち都市交通の場合)。