第6章
エンジンと自動車の開発
新しいタイプのエンジンと自動車の開発を促進する力は、健康と環境に関して徐々に生まれている巨大な需要です。新しい技術は我々の既存の、および将来の環境面のゴールのもっと早く到達することを支援することができます。これらのゴールのいくつかは、効率性を改善し、既存のガソリン・エンジンやディーゼル・エンジン自動車を全体的にグレードアップすることで達成できますが、既存の技術を基礎とした厳しい基準を満たす可能性は非常に限られています。このため、純粋アルコールやバイオガスの形態で、あるいは混合燃料としてのバイオ燃料に基づく新しいエンジンと自動車が開発され市場に導入される必要があります。
エンジンの開発
燃焼エンジンに関して2つの主要なタイプがあります:オットー・エンジンとディーゼル・エンジンです。すべての自動車生産業者は、かれらの圧倒的に主要な動力技術として、これらのエンジンを使用しています。このため、資本と専門性の観点から、巨大な投資がこれらのエンジン・タイプに対して行われ、大量の開発資源がこれらに投資されました。バイオ燃料によりエンジンの出力を増大するために実施されたような開発作業はまた、これらの新しい燃料の使用に対して伝統的なオットーおよびディーゼル・エンジンをどう適合させるかに大きく関わっていました。この方法に関連する問題点は、より清浄な燃料の使用により提供される環境面の可能性は、これらのエンジンで十分に生かされていないということです。
オットー・エンジン
オットー・エンジンは、もしそれがアルコールで走行できるように最適化されれば、燃料をより少なく消費するかなりの可能性を持っています。それはまず、オットー・エンジンの効率性を改善する、その圧縮比を上げる能力です。ディーゼル・エンジンはオットー・エンジンとはやや異なった原理で動くため、アルコールによる改善効果はこのケースではさほどではありません。しかしながら、ディーゼル・エンジンは現時点において、特に低い負荷の場合にオットー・エンジンよりはるかに効率的であることが強調されなければなりません。たとえオットー・エンジンがエタノールに対して最適化されているとはいうものの、依然として低い負荷でのディーゼル・エンジンほどは効率的ではありません。図6.1は2つのタイプのエンジンの効率性が圧縮比に応じ、どのように変化するかを示しています。
図6.1から導き出せるひとつの結論は、アルコールに最適化されたオットー・エンジンの効率性を25%まで改善することが、理論的には可能であるということです。しかしながら、この図は理論的な立場で得られたものであり、燃料の能力を反映したものと見られるべきだということが指摘されなければなりません。高速道路と市街地交通両方での、全体的な走行サイクルを含む現実的な運行条件のもとでは、違いはわずかなものでしょう。