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大規模にエタノールを導入することに対する最も深刻な障害はおそらく、商業上のリスク・マネジメントに関係した問題に絡んでいます。もしある会社がそのような大規模な投資に踏み切る場合、リスクと可能なリターンの両方を評価することができることを必要とします。このため、ガソリンやディーゼルの価格と比較した、バイオ燃料の現在の高いコストのレベルは、深刻な障害となっています。もし原材料としての安定した資源へのアクセスおよび合理的な価格で燃料と副生産物のためのマーケットを見つけること、そしてコスト構造に関連したリスクが突然政治的判断で変更されるようなことがあれば、このタイプのプロジェクトはしばしばハイリスク・ベンチャーとみなされるでしょう。

燃料としてのエタノールの消費者価格は、最後の分析の中で代替物、つまりガソリンとディーゼルのコストにより大部分決定されるでしょう。その価格は、一部は原油の国際市場価格により、また一部は(財政、エネルギー保障、緊急計画、環境その他)等のさまざまな理由のため政治的判断で決定される、国の税金と賦課金により決定されます。

 

結論

 

□バイオ原料から生産されるエンジン・アルコールは自動車燃料として純粋な形およびガソリンあるいはディーゼルとの混合の形で使用することができます。エタノールはエンジン・アルコールの中で最善の代替物に思われます。エタノールと対照的にメタノールは毒性および腐食性が高く、この結果取り扱いのすべての局面で非常に多くのことが要求されます。メタノールは現在エタノールより低いコストで生産することができますが、新しくより効率的なプロセスがエタノールの生産に関して開発されているので、このコストの有利さは実際上減少していくとみられます。

 

□テストされた技術と原材料は、スウェーデンにおいて2002年までにすべてのガソリンと低い混合率(5%)でエタノールを使用することをすでに商業的に可能にしています。このエタノール生産は年間約32万m3に相当しますが、農民がEUから特別な金融支援を受けている、放置された農地からの穀物に基づくことが可能です。輸入もまた最初の段階では可能でしょう。

 

□長期的に有力な技術と原材料のための十分な可能性(森林)が大規模なエタノールの使用および電力と熱エネルギーを生産するためのバイオ燃料の使用に利用できます。その量に関する制限は、主に競争力のある価格でエタノールを生産する能力にかかっています。

 

□多くの場合、エネルギーのロスはバイオ原材料が自動車燃料に転換される時にかなりの量となります。発電所で直接原材料を使用することは、通常、より効率的です。しかしながら、バイオ原材料を使用する最善の方法は、電気、熱エネルギー、薬品、燃料および副製品を生産する複合設備(バイオ精製所)におけるものです。

 

 

 

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