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バイオ燃料としての可能性

 

スウェーデンにおける年間の森林収穫高は約150TWhに相当します。このうちの約半分が、主に林業においてエネルギーとして利用されます。しかしながら、枝、根、樹皮および現時点では企業により利用されていない(スウェーデン語の略称でGROTとして知られる)その他の倒木の廃棄物の形状での、利用されていない潜在的なエネルギーがあります。B Johansson(1996)は、この資源は年間当たり約60TWhに相当すると推測しています。GROTと同じ規模の潜在的バイオ燃料のもうひとつの資源は、放置された農地で栽培することができる燃料森林(fuel forest)です。バイオ燃料の他の主な潜在的資源は、林業や製材業からの産業副産物(廃棄物)です(年間約50TWh)。これらの潜在的な資源を利用することにより、バイオ燃料の使用は1994年のレベルと比較して、ほぼ125TWh増加すると推測されています。そのような需要は2015年について推定された燃料需要と同様に、既存の燃料需要(約70TWh/年)を満たすに十分なものです。

しかしながら、バイオ燃料のための将来の可能性についてのこれらの推定は、エネルギー目的のためのバイオ燃料の供給が、農業や林業製品、新しい種子や植物および新しい栽培法などによる農業の生産性の向上や競合するタイプのエネルギーの価格の変化、バイオ原料の成長により考えられる環境の変化の影響、より高いバイオ原料の回復力と生物学的多様性のような他の環境のゴールとの間の考えられる軋轢等のような多くの異なった要素により決定されるので、特に不確実です。

コストの観点からは、一定のレベルまではバイオ燃料を運輸にではなく発電や暖房に使用する方が一般的により有利です。しかしながら、Johansson B.(1996)は、たとえバイオ燃料が優先的に発電や熱エネルギーの生産に使用されたとしても、十分な供給がエンジン・アルコールを生産するために、なお残されると述べています(図3.3)。この燃料の可能性がどれほど大きいかはかなり不確実であり、エネルギー政策に関連したいくつかの要因に依存するでしょう。このためJohanssonのシナリオは、原子力発電の廃止およびさまざまな部門におけるエネルギー効率の改善効果に関連したさまざまな仮定に基づいています。

 

資金面の配慮

 

短期的な観点から、試されテストされた商業上の技術は、砂糖あるいは穀物のいずれかでエタノールを生産することに利用できます。スウェーデンにおいてエタノールの十分な生産を促進する能力は、世界市場におけるエタノール価格に関連した競争ベースでの活動に取り組んでいく能力に専ら依存しています。エタノールは熱帯諸国では1リッター当たり3-3.5クローナのコストで砂糖から生産できます。砂糖の多くはインドネシア、中国、インドおよびパキスタン等のようなスウェーデンから遠く離れた国々から来ているにもかかわらず、砂糖には大きな余剰があります。

スウェーデンには農家が主にEUから補助金を受けている、現在耕作されていない土地が約30万ヘクタールあります。国内で穀物からエタノールを生産するコストは1リッター当たり3.50-4.50クローナですが、原材料価格や副産物の価格および程度は少ないものの運営および資本コストに依存しています。

 

 

 

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