日本財団 図書館


スウェーデンでは現在エタノ一ルはスターチを含んだ原料(穀物、ジャガイモ、その他)の発酵を通じて生産されています。しかしながら、酵素による加水分解を含む効率的な生産手段を発見する目的で、開発作業がスウェーデンと外国(主に米国)で実施されていますが(図3.1)、これらは、林業からの収穫の残り、林業、パルプおよび製紙会社からの副産物、建設廃棄物、自治体からのゴミ、わら、その他などのような、今日、廃棄物とみなされているセルロースを含んだ材料を使うこともできます。燃料森林(Fuel forests)もまた考えられます。

理論的には、すべてのセルロースと半セルロースは糖に転換でき、それからエタノールヘとガス化することができます。この方法により、1トンの軟木および硬木から、それぞれ480リッターおよび580リッターのエタノールを生産することができますが、これはその木材に含まれるエネルギーの、それぞれ55%および65%に相当します。リグニンは固体燃料として得ることができ、理論値では木材のエネルギー含有量のさらに20-25%を利用できます。(図3.2)

エタノールがセルロースを含んだ原料から生産される時、その目的は、伝統的なヘキソーズ発酵とは別に、ペントーゼ・キシロースを発酵させることができることです。パン屋のイースト菌(Saccharomyces)を使う伝統的な発酵法はペントーゼの場合は機能しないので、この問題を解決すべく世界中で熾烈な開発作業が進められています。ひとつの方法はイーストを転換することです。これはキシローゼの直接発酵を可能にすることを目的とし、遺伝子工学の分野で設計図が描かれるでしょう。主にスウェーデンのLund大学で実施されている研究の重要な部分は、高い産出および発酵と比較し、より少ない副産物しか生みださない方法を発見することです。すべては生産コストを下げる目的で、分子膜技術による乾燥や抽出、およびさまざまな蒸留の組み合わせのような新しい技術に関する、価値ある開発作業がプロセス産業において進行中です。

将来におけるエタノールの大規模生産はおそらく、多くのバイオ精製所の建設が基礎となるでしょう。そのような精製所は、エタノール、熱エネルギー(地域暖房)、電力、薬品、そしておそらく他の化学製品のようなさまざまな製品の複合生産を基礎とするでしょう。

032-1.gif

Figure 3.2.Theoretical ethanol yield (Zacchi, 1996).

図3.2.理論的エタノール産出高(Zacchi、1996)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION