米国のメタノール・プログラムもまた1990年代を通じて縮小されました。メタノールで走行する自動車の数と同様、メタノールのための充填ステーションの数は今なお比較的高い水準ですが、メタノールの総売り上げ高は急速に減少しました。良い例がロスアンゼルスのバス会社であるMTAです。約300台のバスのこのフリートは、深刻なエンジン・トラブルと適正な価格でメタノールを入手することの困難性から、最近になってメタノールからエタノールに転換しました。同様の動きがカナダとニュージーランドで起きています。しかしながら、原材料として天然ガスを使っている日本のメタノール・プログラムは今なお進行中です。中国と南アフリカにおけるメタノールに関して興味深い事項があります。これらの国々では、大きな環境問題を引き起こす可能性のある国内の天然資源からメタノールを生産することに大きな可能性を見出しています。
なぜエタノールが最良のエンジン・アルコールとして次第に浮かび上がってきたかということには多くの理由があります。メタノールが後退した最も大きな理由のひとつは、それが原料として人と環境の両方に危険であることです。メタノールは腐食性があり、パイプライン、充填装置などの材料により高いコストがかかることになります。メタノールはまた毒性が強く、失明や、最悪の場合は死亡につながり、肌に触れた場合には血液中毒を引き起こします。メタノールが水に漏出した場合、すなわち、地下水への漏出の場合、大きな被害を引き起こす可能性があります。メタノールの現在のコスト面での利点は、新しくより効率的な方法がエタノールの生産のために開発されているので、実際上消失するとみられます。
生産
エンジン・アルコールは原則として2つの異なった技術-発酵とガス化-により生産することができます。普及している方法は、さまざまな技術の考え方が開発された、蒸留の前のバイオ原料の発酵です。ガス化の技術はこれまでのところ、主に化石原材料からメタノールを生産するためにテストされていますが、開発作業はバイオ燃料のガス化のための技術を開発することに関して進展しています。