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第3章

 

エンジン・アルコール

 

この報告書でエンジン・アルコールとは、生物学上の原材料から生産されたメタノールとエタノールをいいます。しかしながら、スウェーデンに関する限り、関心を持てれているのは特にエタノールです。両方のアルコールは純粋な燃料としてオットー・エンジンとディーゼル・エンジンの両方に、あるいはガソリンやディーゼル燃料への燃料混合として使用することができます。現在、エタノールは主に農業生産物から生産されていますが、将来においては、スウェーデンのエタノール生産は大部分森林材料によるべきであると考えられています。

 

燃料の特性

 

自動車燃料としてのアルコールの使用は新しい試みではありません。事実、このことは自動車社会の早い時期に行われました。アルコールは、自動車社会のすべての歴史を通じて、使われ、また使うことを断念されました。最も多く見られたケースは、戦争や不況といった不確実な時期に伝統的な燃料への代替物としてアルコールが使われたことです。供給の安全保障は、アルコールの使用を決断するための最大の要因でした。この議論は、現在ではバイオベースのエンジン・アルコールが提供する環境面の可能性の利点の背後に隠れてしまう傾向があります。

自動車燃料としてのアルコールの特性については、そこには長所と短所があります。プラスの特質が勝っているか、マイナスの特性が勝っているかどうかは、かなりの程度、どのようなタイプのエンジン(オットーあるいはディーゼル)が使われているかにかかっています。一般的にアルコールはそれがオットー・エンジンで使われた場合に長所を発揮し、一方、ディーゼル・エンジンではアルコールの使用を難しくする物理的な障害があるとされています。

オットー・エンジンのための燃料として、アルコールを適切なものにするその特別の特性は、高いオクタン価にこあります。オクタン価は高圧と高温で自然燃焼しない燃料の能力の尺度です。燃料と空気の混合の点火は、コントロールされた条件の下で、火花により起きるべきものです。もし、燃料が火花が飛ぶ前に自然点火したら、“ノッキング”として広く知られる現象が起きます。騒音は別として、ノッキングはエンジンを著しく損傷します。

実際上、高いオクタン価はエンジンの圧縮比を引き上げることができることを意味します。物理学的に、高い圧縮比はより高い理論的効率性を生み出すことを意味します。言い換れば、エンジンの使用する燃料が減ります。

 

 

 

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