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表3.1.エンジン燃料としてのエタノール、ガソリンおよびディーゼルの重要な特質の比較(Olsson L-O, 1996)。

 

ディーゼル・エンジンの場合、燃料には他の特徴が求められます。オットー・エンジンのための燃料に求められるものとまったく正反対のものがあります。ディーゼル燃料は容易に自己着火すべきです。事実、燃料がうまく自己着火すればするほど、それはディーゼル燃料としてより優れたものといえます。この理由はディーゼル・エンジンの中で燃料と空気の混合気に着火する方式に起因します。燃料はピストンがほぼ上死点にある時、エンジンのシリンダーの中に噴射されます。その位置でシリンダー内の圧力と温度は高くなっています。このことは燃料がシリンダー内に噴射されてから、できるだけ早く点火するために好ましいことです。

燃料の自己着火の能力の尺度はセタン価として知られています。セタン価が高ければ高いほど、燃料はより簡単に自己着火します。通常、ディーゼル燃料は現行の欧州ディーゼル・エンジンに対して少なくとも47のセタン価を持っています。これに対しエタノールとメタノールのセタン価はそれぞれほぼ8と5です。エタノールのセタン価を改善するために、着火促進剤として知られる添加剤が加えられます。しかしながら、そのような添加剤のコストは現時点では非常に高価なものです(リッター当たり約1クローナ)。

作業員の保護に関しては、エタノールはディーゼルとガソリンよりはリスクが少ないといえます。エタノールの毒性は低く、少量なら比較的無害です。エタノールは水溶性で、エタノールを二酸化炭素と水に分解できる天然のバクテリアが存在しています。アルコール飲料との誤用や混乱のリスクを回避するため、変性剤の添加が法律で義務づけられています(風味を持つ芳香成分の添加)。

他方、メタノールはエタノールと違い高い毒性を持ち、このためその使用を規定してい

 

 

 

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