日本財団 図書館


006-1.gif

この成長の非常に大きな部分は工業化の入り口にある国々で起きるでしょう。例えば、中国はその自動車フリートの数がこれからの10年間で3倍になると予想されています。しかしながら、欧州でもまた現在の2億台というレベルから2010年には約2億7千万台へと劇的に増加することが予想されています。これは北米と比較することができるかもしれません。北米では自動車の数は増加することが予想されていますが、他の大陸と比較するとかなり緩やかなものです。たとえ我々がスウェーデンにおいて燃料効率のいい自動車へのアクセスの獲得の必要性に関して起こっている議論を今みていこうとしても、世界のすべての自動車がわずかな量しか消費しないようになるまで前途に長い道のりがあります。そしてこの移動性が依然として再生不可能な資源に基づいているという事実はそのままです。多くの人々がこのことに深く関心を持っており、石油会社もまた長期的には我々が現在と比較して全く異なった規模で代替エネルギー資源の使用を開始する必要があるということを認識し始めています。Shell社が発表した予測では(Shell、1996)、例えば2060年までに世界の総エネルギー消費量の約60%が、太陽エネルギー、バイオエネルギー、および我々がまだ知らないような新しいエネルギー源といった再生可能なエネルギー源に基づく必要があると予測されています。この理由は石油が近い将来に供給不足になるとみられているためです。環境に関する国連の専門家パネル(環境の変化に関する政府間パネル、あるいはIPCC)も同様の結論に達しました(図1.2)。

持続できる移動性を実現するためには、単に既存の運輸システムの効率を改善だけでは不十分です。必要なことは、生産と流通のすべての局面が再生可能なエネルギー源に基づく燃料システムを開発することです。これらの新しい運輸システムが長期的に持続可能なものとなるためには、これらがいかなる局面でも(ゆりかごから墓場まで)健康と環境に対してマイナスの効果を持たないという、更なる前提条件が必要です。長期的な解決策を開発するためには長い時間がかかります。高価な過ちを避けるために長期的なゴールをめざして作業をし、多くの異なった代替物をそれぞれ並行して試すことが重要です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION