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第1章

 

は じ め に

 

運輸部門の持続可能な開発には、将来の世代の快適な生活を楽しむための可能性を危うくさせることなしに、商品およびサービスへのアクセスのための既存のニーズを満足させる開発プロセスを含んでいます。しかしながら、現在の運輸システムは持続不可能です。運輸部門の根本的な側面は移動性であり、環境問題を引き起こしているのは、この一貫して増加している移動性です。運輸部門における持続可能な開発を達成するために、必要とされていることは、環境への脅威を克服するだけでなく、移動性に生じているニーズ、つまり持続可能な運輸システムを満足させる新しい運輸の解決策です。持続可能な運輸システムは考え方と行動の変化と同様に新しい技術的解決策を要求するでしょう。この報告書はエンジン・アルコールとバイオガスの使用が、運輸システムをより持続可能なものにするような方法で開発するために求められている条件をどのように作り出すことが出来るかを議論しています。

 

持続可能な運輸システム

 

すべての時代において移動性は人類のひとつの特徴でした。移動性は人々がその領土を拡張することを可能にし、思想と情報が商品やサービスと同様に世界中を自由に移動することを可能にしました。商品とサービスのより大きな移動性はまた、単一欧州マーケットの構想の背景にある思想のひとつです。すべての時代において、政治家は道路やそれを整備する他のタイプのインフラに補助金を出すことでより大きな移動性を促進してきました。しかしながら、我々はこの移動性が過密都市、スモッグ、酸性化、オゾン・ホールおよび環境変化という形でその犠牲を強いていることを見ていくことから始めようとしています。

運輸、とりわけ道路運輸はこれらの変化を促している主要な要因のひとつです;これはまた、地球規模でみられるように、環境へのそのマイナスの寄与が急速に拡大している部門でもあります。その理由は運輸部門で使用されているエネルギー源のほぼ100%が化石燃料に基づいているためです。このような流れは維持不可能です!

現在、世界的に自動車の数は非常に急速に増加しています。現在の約5億台の自動車数のレベルから、世界の道路上の自動車の数は今から2010年の間に年間約4-5%の割合で増加していくと予想されています(図1.1)。

 

 

 

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