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要約

 

□ 我々が今日所有している運輸システムは長期的に維持できるものではありません。運輸部門に持続可能な開発を達成するために、現代の移動性を創造するニーズを満たすと同時に環境への脅威を克服するための新しい解決策が求められています。これは運輸部門に影響力を持つすべての参加者の態度と行動における変化と同様に、新しい技術的解決策を必要とします。これらの参加者には消費者および旅行者としての我々と同様に、自動車の購入者およびユーザー、自動車および石油業界、農林業界、および新しい持続可能な運輸システムが生み出せるすべての新しい産業を含みます。

 

□ 持続可能な開発を達成するためには、単に既存の運輸システムの効率を改善するだけでは不十分です。必要とされているものは、生産と配給のすべての場面において再生可能なエネルギー源を基礎とした燃料システムの開発です。スウェーデンにおいては、エタノールとバイオガスが、ガソリンとディーゼル燃料に対する短期的および中長期的に最適な代替物とみられています。この結果、これらの燃料はKFBのバイオ燃料プログラムの中核を占めることとなりました。このプログラムには、百台以上のバス、主にフレキシブル燃料自動車(FFVとして知られています)である100台前後の乗用車、および50台前後のトラックが含まれ、これらは上記の燃料を使用し1千万km以上を走行しました。大学や産業界での広範囲の開発の場合のように、100近い広範囲の排出ガステストがこれらの自動車のいくつかについて実施されました。

 

□ このプログラムは、エタノールとバイオガスがどのようにして明日の燃料になることができるかについて、産業界の参加者により多くの事実を提供する手助けをしています。一番の進展は、その技術が特に進歩しているエタノール・バスに関連して実現しています。都市区域で運行しているトラックやバンの場合は、開発は今のところ進んでいません。しかしながら、原則的に都市バスのためのエタノール・エンジンとトラックのためのエタノール・エンジンの間にそれほど大きな違いがあるわけではないので、より良いエタノール・エンジンを搭載したトラックの開発の前途は明るいとみられています。バイオガスの場合、運行しているバス、トラックおよび乗用車から得られた経験では、この燃料は現在最も環境にやさしいということがわかっています。しかしながら、これらの燃料の環境への利点が最大限活用され、新しい技術が健全な資金基盤の上に立つためには、エンジンと自動車に関する一層の開発がエタノールとバイオガスの両方に求められています。エタノール・エンジンの場合、中心的な部分は着火促進剤の添加を必要としないエンジンの開発です。

 

□ ガソリンおよびディーゼル燃料にエタノールを混合することはバイオ燃料を既存の自動車に導入するためのひとつの方法です。ディーゼルヘの15%のエタノールの混合は、乳化剤の助けを借りれば、走行性能をなんら低下させることなく、現在使用されている最高品質のディーゼルよりさらに優れた環境特性を示す高品質燃料として機能することができることがKFBのプログラムで実証されました。しかしながら、この方法が広範囲に適用される以前は、自動車と燃料の長期テストには、エタノールを乳化剤とともにディーゼル燃料に混合するための合理的かつ大規模な方法の開発もまた要求されました。エタノールをガソリンに混合することに関しては、より簡単であり、この分野の国際的な経験から、ガソリンヘの容積で20%のエタノールの混合が現行の乗用車に完壁に適合することが示されています。

 

 

 

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