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着火が遅れた場合、着火遅れ時間の間に燃える前の多くの燃料がシリンダー内に蓄積する。

その後着火が起こった時、燃焼過程は急速で、高いピーク圧力を生み出す。不良な燃料の着火性能、長い着火の遅れおよび高いピーク圧力に伴う実際の影響は:

● より多いエミッション

● 騒音、ディーゼル・ノッキング

● 低温時の白煙の増加

● エンジンに与える機械的および熱応力の増加:

燃料の燃焼特性に関する不良な着火特性の影響は、エンジンの負荷が低い場合に最も顕著である。負荷が高い場合、シリンダーの温度は非常に高いため、着火特性の劣った燃料でさえ理想的な着火の遅れで自己着火する傾向がある。

前の章には、さまざまな燃料に関してのエミッションとシリンダー圧力の結果が含まれていた。ここではその結果が燃料の特性とエンジンの効率との間の相関関係を見出すために要約される。燃料の特性はエミッションと燃焼のパラメータの影響に関連し検証されている。

最も確実な結論のひとつは、セタン価測定法はエタノール乳化剤には不適切であるということである。このことは第3章においてすでに結論とされた。セタン価判定に使われたCFRエンジンはエタノール燃料ではうまく動かなかった。その運転状態は不安定であり、同じ品質のエタノール燃料に対するセタン価は明らかに変動した。

どのパラメータが炭化水素燃料と代替燃料の燃焼に影響するかについて研究するために相関関係の分析が使用された。例えば、CFRのセタン価とエンジン効率の間の相関関係が炭化水素燃料にとって良好で、代替燃料については相関関係が認められなかった場合、CFRのセタン価測定法は代替燃料のエンジン効率の真の姿を示していないという結論になるだろう。

直線回帰が相関関係を検証するために用いられた(Excelスプレッド・シート計算、Pearson相関係数)。相関関係が強い場合、いわゆるPearsonの相関係数R2は1.0に近づく。しかしながら、相関関係の因子は必ずしも全体の真実を物語るものではない。もし、ひとつの結果が他の結果の集団と著しく違う結果であれば、現実の相関関係が存在しないにもかかわらず、相関関係の因子は高い。このため、いくつかの強い相関関係がこの章においてグラフで示されている。相関関係の結果は表7-9に要約されている。

相関関係は異なった負荷においていくらかのパラメータにおいて変化した。低負荷は着火過程に最も重要であったため、一番の重点が置かれた。相関関係はグラフを使って評価されたとそれらのうち2つの例が図26に示されている。要約表の中の相関関係の表示は多かれ少なかれ主観的解釈となっている(表7参照)。

 

 

 

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