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政策の継続性を維持できない。こういう税金を無駄にする行政のあり方は、中央省庁から市町村にいたるまで日本では多く見受けられ、国民の租税への負担感を強くしているように思われる。行政の腐敗スキャンダルが繰り返される度に、税が市民生活の向上に役立っていないと国民が感じるのは仕方のないことである。ここが、デンマークと日本とで余りにも違い過ぎていることをこの小論で明確にしたかったポイントのーつである。

デンマーク人の自治体職員は、自治体政治家と市民の厳しい監視下で効率的な運営を絶えず要求されている。実体としては、日本とは異なって行政責任が市町村長にではなく議会全体にあることによって、多くの監視の目が光る制度になっていることにより、行政の透明性を高める作用をしている。議会の権限と責任が極めて重いことから、効率化の努力が行政全体のものになるのである。議会に住民税率を決める権限があることは、その使い方にも責任が生ずることになる。
従って税金の無駄遣いや、政策の失敗は選挙によって市民から厳しく評価されることになる。だからこそ、議会の決定を事業として展開する公務員が、議会の監視のもとで効率性や、高い生産性の努力をするメカニズムが働くことになっている。ホルベック市、グレステッド・ギーレライエ市、ファールム市などで行われてきている様々な行政努力は、このような行政制度では、当然なのだといえる。最後に、もう一つ実例を紹介したい。

首都コペンハーゲンの北西約30kmに位置するスランゲルップ市(Slangerup、人口9000人)もそのような努力をしている自治体である。ここでも、ホルベック市のように政治家の指示で高齢者福祉担当者が中心となって、様々なサービスの内容、レベルなどを明文化する事が行われた。ここでもホルベック市同様に、職員、サービス利用者や市民体表の高齢者委員会の了解を取り、最終的に市議会での議決を得るという手続きを経ている。ホルベック市のようなパンフレットにはなっていないが、サービスの品質明示は1998年11月完成した。グレステッド・ギーレライエ市やファールム市同様、自由党系が過半数を占めるこの自治体では、福祉サービスを含め行政サービス全般の競争入札を検討している。
高齢者福祉担当者によると、ホルベック市同様の極めて詳細に渡るサービス商品内容の明示したのは、事業の民間入札が行われた場合に、具体的に示されたサービスレベルを提供できるかどうかを評価する基準に使うことができるからだと述べている。単に価格だけの競争入札にならないようにするためなのである。今までより安くなっても、サービスレベルが落ちては、市民に対しての保証違反になる。サービスレベルを維持し、市民の負担が増えないことが、あらかじめ決められたサービス保障で担保されていると言える。同市の政治家の多くは民間委託を真剣に考えているようだが、高齢者福祉担当者によると、「公的サービスは今のレベルを保ちながらもっと効率化出来ることが98年の実績で証明された。我々のような経験とノウハウを十分持たない民間の入り込む余地は無いのではないか!」と自信を隠さないが、同時に「政治的判断は、ときどき客観性に欠けることがある。それが心配だ。」と述べている。

 

 

 

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