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型施設より格段に向上した。現在2万7千戸の高齢者住宅が全国にあり、10年前5万室あった老人ホームを3万5千にまで減少させることを可能にした。また先に触れた在宅ケアと施設ケアの統合化も80年代終わり頃から次第に広がり始めた。これにより、総合的高齢者福祉サービスの提供が可能になり、質の向上とともに資源の効率的活用が可能になった。これは、バラバラだったサービスを統合化するという高齢者福祉制度全体の構造的な大改革だったと言える。

そして90年代だが、はじめて高齢者が主体的に自治体の高齢者政策に参画できるようになり、高齢者分野の民主化が進み始めている。1891年の最初の老齢年金法から100年余りが過ぎて、慈悲的な高齢者福祉から高齢者の高齢者による高齢者のための福祉対策が展開されつつあるといえる。

 

3.2 分権型高齢者福祉制度

 

デンマークの高齢者福祉は、日本の市町村に当たる自治体の業務である。財源は、住民税で徴収し国や県の補助金などは一切無い。デンマークのような徹底した分権化行政制度は、欧米諸国の中でも極めて異例である。国は高齢者福祉制度の法律を作るが、それはいわゆる「枠組み法」と呼ばれる分権型法律で、大まかな枠組み内の細かい内容に関しては、自治体の議会の決議にゆだねている。これは、義務教育、ゴミ処理、リサイクル、スポーツ、文化活動などの分野に適応されている。
こうした政策に関しては、一切県や国の許認可は不要である。そうでなければ自治の名に値しないだろう。従って、デンマークの分権型社会から見ると日本の自治体には本来の意味するところの自治は殆ど存在していないことになる。デンマークの自治体は、住民税の税率、ホームヘルパーの雇用数、高齢者施設の建設など自治体に分権化されている全ての決定を、国や県の介入無しに市町村の議会だけで決定できる。勿論これらは法律の枠内でなくてはならない。もし法律の枠を越える場合は、内務省ならびに政策の所管省庁の許可を取る必要がある。その許可を得た自治体を自由自治体と呼ぶ。

それでは貧しい自治体と豊かな自治体、あるいは地理的条件などで便利の良い自治体とそうでない自治体とでは憲法が保障する均一なサービスを提供できない可能性がある。そこで、基本的なサービスの均一化のために日本の地方交付税に当たる調整制度がある。ただ日本と違うのは、国が国税によって行う一般的平準化の財政調整の他に、市町村間における平準化があることだ。例えば、極めて豊かな自治体が1千万円の新規事業をするためには、1億円の新規な税収を住民税として得なくてはならない。この自治体で使うのは1千万円だが、残りの9千万円は平準化のために地方交付税として平均所得の少ない他の自治体に配分され財政調整される。この仕組みがあって初

 

 

 

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