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微妙に動いているだけで殆ど変化が見られない。

社会保障費は公的支出全体の5割から6割を占めており、公的支出の中では最も大きな分野になっている。その社会保障費では、高齢者福祉関係が三分の一ほどを占め、最大な分野である(図12)。これは国内総生産の約10%ほどになる。高齢者福祉では、現金給付である老齢基礎年金(67歳から)が圧倒的に大きな部分を占める。約8割が年金で、残り2割で高齢者の施設ケア、在宅ケアなど現物給付を行っている。1993年まで高齢者福祉費の比率は下がる傾向にあったが、94年から上昇し始めた。その原因は、60歳から受給できる部分老齢年金の中請者が急増したためである。図11で見たように95年から現金給付が減少するが、これは60〜67歳の勤労者あるいは失業者が部分老齢年金を受給することで労働市場を離れることにより、労働需要が高まって、就労を増やしたからだと思われる。

 

図12 デンマークにおける高齢者福祉費(現金給付+現物給付)の社会保障費全体に占める割合(%)

 

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高齢者福祉では、年金は生活維持のために不可欠だが、病気や障害のリスクが高い高齢者が疾患や障害を持って生活を維持するためには、在宅ケアや施設ケアなどの現物給付もまた極めて重要である。後述するようにデンマークの現物給付のレベルは、世界で最も高いものだと断言できるが、その運営費は現在、国内総生産のほぼ2%である(図13)。国民経済からすれば、大した率とは言えないが、これを国内総生産500兆円の日本に当てはめてみると10兆円になる。4兆2000億円規模の介護保険の2倍以上になる。また、日本では在宅ケアにしても施設ケアにしても基盤整備がまだまだ不十分だから、基盤整備がすでに終わっているデンマークのレベルを実現するためには、3倍から4倍の財源が必要だろう。しかし、現在の日本の政治経済状況が続く限り、日本の高齢者福祉がデンマークレベルになることは、残念ながらあり得ない。従って、デンマークの高齢者福祉制度は、日本に参考になる部分もあるかもしれないが、全体

 

 

 

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