微妙に動いているだけで殆ど変化が見られない。
社会保障費は公的支出全体の5割から6割を占めており、公的支出の中では最も大きな分野になっている。その社会保障費では、高齢者福祉関係が三分の一ほどを占め、最大な分野である(図12)。これは国内総生産の約10%ほどになる。高齢者福祉では、現金給付である老齢基礎年金(67歳から)が圧倒的に大きな部分を占める。約8割が年金で、残り2割で高齢者の施設ケア、在宅ケアなど現物給付を行っている。1993年まで高齢者福祉費の比率は下がる傾向にあったが、94年から上昇し始めた。その原因は、60歳から受給できる部分老齢年金の中請者が急増したためである。図11で見たように95年から現金給付が減少するが、これは60〜67歳の勤労者あるいは失業者が部分老齢年金を受給することで労働市場を離れることにより、労働需要が高まって、就労を増やしたからだと思われる。