が一般的に悪化したのに対して、年金生活者の経済的水準は逆に相対的に向上したことが指摘される。また、10年前は単身世帯の高齢者女性の約半数が生活保護基準を下回る所得水準であったが、94年ではわずか20%にしかすぎなくなってきている。高齢者の資産状況も一般的に良好で、96年の統計では高齢者の平均資産は約30万クローネであった。
反面、年金算定の基礎になる基礎額の2%減やサービス料金の値上げによって、経済的条件の悪化したグループもみられる。95年のホームヘルプ・サービス料金の本人負担は、所得の平均4〜6%であった(中位月額、単身世帯340クローネ、夫婦世帯500クローネ)。しかし、さまざまな形で税金還元による援助が行なわれるため、高齢者本人の負担はそれほど重くなく、経済的条件によって必要なサービスやケアが受けられないことは一切ありえない。国民基礎年金の受給資格しかない、あるいは国民付加年金の受給条件が極めて悪いために年金加算を受給する年金者の割合は、97年度年金者総人口の22%であった。また、これらの大多数が単身世帯の女性である。しかし、付加年金受給資格が一般的に良くなることから、低所得年金者グループは将来大幅に減少し、年金者の所得状態は著しく向上することが予測される。
住宅条件:
高齢者の住宅水準は、他の国民グループの水準と変わらない。成人の子どもと同居する高齢者は稀であり、1〜2%にしか過ぎない。また、近年高齢者の(特に女性の単身世帯)が増加し、40%を上回る。人生の末期においてひとり暮しを営む割合は、女性が70%、男性が30%である。女性の割合が高いのは、女性の平均寿命が男性より長いことによる。
自宅ではなく、特別な住居形態(老人ホームやグループ住宅など)で生活を営む高齢者の割合は約9%である。特別な住まいのスタンダードは近年著しく改善されたが、まだ不十分さが残っているといえる。96年の統計によれば、入居者の23%が独自のトイレ、33%が独自のシャワー/バスルームを持たず、また10%が夫婦以外の他人と部屋を分かち合う状況が報告されている。
独立した生活は家族断絶を生み出すのではないかと推測されがちであるが、スウェーデンの高齢者の家族との交流度は他の国の高齢者と比較して相対的に高い。子どもの近くに住む高齢者が多いことも事実である。高齢者の10人に1人が子どもと非常に近距離に住んでおり、そうでなくても最高数十キロの範囲内に住んでいる。過疎地帯においても、子どもとの距離は他の高齢者と比較してそれほど大きくない。また、50年代半ばの調査と比較しても、子どもとの距離は広がっていない。また、生地に住み続ける高齢者がほとんどであり、移動する人は少ないことが明らかである。世代間の交流や、高齢者の一般社会との接触も頻繁である。社会的に孤立した高齢者