日本財団 図書館


第7章 高齢者ケアの将来とその課題

 

90年代前半のエーデル改革と財政危機は、地方自治体の高齢者ケアの発展にさまざまな影響を及ぼした。エーデル改革は基本的に肯定的な効果をもたらしたというものの、医療ニーズに対する医師レベルでの対応やリハビリテーションがいまひとつ十分でないことが指摘されてきた(Socialstyrelsen・1996a)。また、財政危機による医療・福祉分野における経費節約は人道的観点からこれ以上不可能であるいう極点に達していることや、個別的なニーズに十分対応する条件が満たされていないという指摘から、ケアの質の低下が各方面から批判されてきた。

本報告書の冒頭で述べたように、2010年に入ると65歳以上の高齢者人口が増加し、80歳以上の超高齢者は2020年代に入るとより著しく増加することが予測される(図24・25)。人口予測は将来の死亡率に大きく関わってくる。今までの経験からみると、高齢者の死亡率の減少を低く見積もられていたことが指摘される(Regeringensproposition 1997/98:113)。20年前に推定された2010年の80歳以上の高齢者人口は、今日のそれよりも16万人ほど低いものであった。したがって、推定が実際よりも低い傾向が続くとすると、2010年の80歳以上の高齢者人口は55-60万人に達することが推定される。

 

図24 高齢者人口(1950-2030)

072-1.gif

出所:Regeringens proposition 1997/98:113, p.18

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION