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全国289コミューンの内約70コミューンである。痴呆症看護婦の専門教育は公共教育に正規のコースがあるわけではなく、痴呆症看護に関心のある看護婦を対象に、全国に6つある管区病院(大学病院)が行なっており、数週間のものから3年に及ぶ特別教育というように、その幅は広い。これらの教育に加えて、精神医療や痴呆症ケアでの経験が重要な意味をもってくることはいうまでもない。

痴呆症看護婦の任務として基本的に共通なことは、痴呆症患者、家族、関係職員に対して、痴呆症ケアに関するコンサルタント的な役割を果たすことであり、またケアの総合的コーディネーターとしても中心的な役割を果たすことである。痴呆症看護婦の主な任務として現在確認されているのは、以下のような活動である。

 

1) 痴呆症診断-地域医師、地域看護婦、在宅介護主事との連携を基に、家庭訪問を通してとる病歴や生活歴、その他の検査やテストの結果を総合的に判断して診断を行なう。また、総合的なケア計画を行なう前提として、家族や関係職員の意見吸収を行なうことも重要な任務である。

 

2) ケア計画-関係職員すべての参加によってケア計画が行なわれることは、総合的に、しかも継続的に適切なケアを提供する重要な前提となる。

 

3) フォローアップ-ケア計画によって決定された治療や対策を定期的に継続的に評価することは、ニーズの変化に的確に対応するうえから極めて重要である。また、定期的な家庭訪問や家族との日常連絡は、生活を共にする家族にとって安心感を与える。

 

4) 教育および指導(スーパービジョン)

痴呆症ケアに日常携わる関係職員(地域看護婦、ホームヘルパー、デイケア職員など)や家族に対する教育・講習活動は、ケアの質を向上させるうえから重要な活動である。また、さまざまな職員グループや痴呆症患者の家族と定期的に面接することは、状況の把握とともにに、職員や家族のケアヘの関心を深め、ケア提供者としての自律性を強化する点から必要不可欠である。

 

5) 会議とインフォメーション

地域看護婦、在宅介護主事あるいはニーズ査定主事との定期的な会合を通して、情報交換やアドバイスの提供を行なうことは、サービスやケアの継続性を保障し、関係する人々の間の連携を深める。また、コミューンの障害者協議会、年金者評議会、地域精神医療チーム、薬局やラヂオのローカル放送に対してもインフォー

 

 

 

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