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べてにインフォメーションが行なわれ、共同の方針設定と今後の計画が協議され、決定される。参加者すべての意見がそれぞれの専門の立場から出されることが重視される。このことによって、知られていなかった事実が明確にされることがしばしばである。

ケア計画会議の決定に基づいて個別的ケアプラン(目標、資源、対策、再評価の期日など)が作成される。また、担当医師(主治医)が誰であるのか明記される。担当医師には、患者の状態の変化が継続的に報告されなければならない。診断名は、可能であるかぎり記録される他、補足的診断の必要性、あるいはしばらく様子をみる必要性があるかいなかが記録される。

(6) 職員教育

カルマル・コミューンがモデルの一部として、痴呆症の実態調査や痴呆症診断の実施とともに力を入れたのが、痴呆性高齢者のケアやサービスに関わる職員の教育であった。教育の意図は、痴呆性高齢者の医療および社会福祉サービスにあたる関係職員が、正確な専門知識と統一した対応方法(処遇)によって、ケアやサービスに臨めることにあった。介護・看護職員の基礎教育において、痴呆症に関する専門知識や介護・看護知識が必ずしも十分でないこと、質が均一でないことなどがその背景であったといえる。

教育にあたったのは、コンサルタントにあたる痴呆症看護夫(カルマル・コミューンの場合は男性)で、カルマル・コミューンでは97年の秋に53回にわたり、延べ370人の職員に講習を提供している。とりわけ、在宅の痴呆性高齢者に対応する職員に焦点があてられた。

対象グループ:

・地域看護婦

・高齢者サービス行政地区責任者(在宅介護主事)

・准看護婦

・ホームヘルパー

講習内容:

・ステップ1(3×60分)  脳解剖学、痴呆症に関連する生理学

・ステップ2(3×60分)  痴呆症、原因、症状、進行過程

・ステップ3(3×60分)  看護と対応の仕方

・ステップ4(3×60分)  薬とその効用、アクティビティ、家族

(7) 痴呆症看護婦の役割

「痴呆症看護婦(夫)」は比較的新しい専門職であるために、その役割は必ずしも明確ではない。また、コミューンや県コミューンのプライマリーケアの組織や条件によっても異なってくるといえよう。現在、痴呆症看護婦を設置しているコミューンは、

 

 

 

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