よる診断に加えてはるかに専門的な診断を必要とする場合は、県立病院の老年専門医学・リハビリテーション科あるいは精神科に診断が依頼される。
1) 地域医師
痴呆症診断の実施と方法に関しての責任を負う。地域保健・医療センターの医師による診察において、痴呆症診断の必要性が明確にされる場合は、地域医師がその旨を診断の計画および中心的遂行者である地域看護婦に報告する義務を有する。
2) 地域看護婦
地域看護婦は地域医師の指示により、痴呆症診断の開始する。地域看護婦は、病歴調査および各種検査を行なう。また、継続的なケア計画の実施にも責任を負う。
3) 高齢者サービス行政地区責任者(在宅介護主事)
コミューンの高齢者サービス行政地区責任者(在宅介護主事)は、患者の生活史・社会的現状の調査に責任を持ち、ケア計画に継続的に参加する。また、痴呆性高齢者がホームヘルプサービスなどの社会福祉サービスが必要と認定された場合は、ホームヘルパーの派遣などサービスの提供に責任を有する。
4) ホームヘルパー
痴呆性高齢者のケアにホームヘルパーが必要とされる場合は、ホームヘルパーはケア計画に必ず参加する。また、ホームヘルパーには、行政地区責任者(在宅介護主事)、地域看護婦、地域の作業療法士(あるいは作業療法士助手)からサポートが提供されなければならない。ホームヘルパーが、痴呆性高齢者のコンタクトパースンとして機能するのが普通である。
5) 痴呆症コンサルタント
痴呆症診断、痴呆症ケアやサービスは複雑な分野であり、専門的な指導、教育・研修、および援助を必要とする。したがって、地域医師、地域看護婦、准看護婦、在宅介護主事、ホームヘルパーへのコンサルタントによる援助が必要なことは明らかである。カルマル・プライマリーケアのコンサルタントの機能は、痴呆症ケアの専門教育を受けた痴呆症看護婦がはたす。
65歳以下の患者で診断名が不正確な場合や、通院方式では診断が困難である場合、医師および患者がさらに専門家の意見を希望する場合は、補足的診断として県立病院の老年医学・リハビリテーション科に痴呆症診断を依頼する。また、痴呆症的症状が指摘されるが、背景に欝病やあるいはその疑いがもたれる場合は、県立病院の精神科に診断が依頼される。ただし、精神病的、妄想的症状や、葛藤、鬱的症状の治療は、プライマリーケアで十分に行なうことができ、成果もあがっている。
(4) 痴呆症診断の必要性
痴呆症は医学的にも社会的にも複雑な問題であるために、的確な対応の前提として医学的・社会的診断が必要である。診断のメリットとして、次のことがあげられる。