デイセンターの活動には、普通、だれでも好きなときに好きなだけ参加できるオープンな部分と、ニーズがあると認定された人だけに提供される部分とに分かれる。前者は高齢者自身の手で運営されるのが一般的で、職員は必要なときだけ援助するかたちをとる。活動の内容は多様で広範囲にわたり、機織り、手芸、木工、陶芸、絵画などの趣味的なものから、学習サークル、クイズ・ゲーム、体操、ピクニック、美術館巡り、観劇、旅行とじつにさまざまである。なかには、料理講習グループが毎週一回ランチをサービスしたり、お茶のサービスを行なったりするところもある。そういう場合の費用は、材料費、食事代、御茶代などの実費だけを、参加者が負担する仕組みになっている。
デイケア:
ニーズがあると認定された人だけに提供されるデイケアのプログラムも多様である。たとえば、脳卒中などの後遺症に対するリハビリテーションを受けて退院してきた人に対する通院リハビリもそのひとつである。作業療法士や理学療法士が、個別的なニーズにもとづく機能訓練や調理などの日常生活の訓練にあたる。リハビリテーションを受ける場としては、病院の外、短期に集中的なリハビリテーションを受けることができる地域のリハビリテーション・センターもある。これに対して、デイセンターでは日常生活に必要な機能維持のための訓練を行なうことが目的になっている。
そのほか、近年力が注がれてきた痴呆症や精神障害をもつ高齢者のためのデイケアがある(朝9時頃から午後3時ぐらいまでが一般的)。症状や障害の程度によって、デイケアに通う日数や時間は異なるが、月曜日から日曜日まで週7日制が一般的になってきている。グループの大きさも場所によって異なるが、7〜8人の高齢者に3〜4人の職員によって構成される。したがって、きめ細かなデイケアと24時間を通してのホームヘルプサービスによって、痴呆症や精神障害をもつ一人暮らしの高齢者であっても施設に入居せずに、自宅での生活を続けることが可能になってきている。また、デイケアはこれらの高齢者の社会的孤立を防ぐうえでも、果たす役割は大きい。デイケアにも、併設型と独立型がある。併設型は、サービスハウスや痴呆性高齢者のためのグループ住宅に併設されている場合が多い。
また、デイセンター内に地域の年金者協会支部が事務所を借りていることが多く、公共サービスを補足するかたちでこれらの組織が自発的な活動を行なっている。ただし、高齢者同士のネットワークづくりが目的であり、職員に変わって専門的な介護や看護に携わることはしない。
95年の社会庁の統計によると、全国で約4万5,000人がデイセンターの行なうデイサービスやデイケア事業に何らかのかたちで参加している(Socialstyrelsen・1996b)。1週間の延べ通所回数は11万2,500回にのぼる。年間事業費は約5億クローネであり、4,000人の職員がこの分野で働いている。