障害者や高齢者などの身体的な機能の低下した人が、無料あるいは無料に近い料金で、コミューンの提供する送迎サービスを利用することが出来る。コミューンによって少しずつ取り決めが違ってくるが、年間に一定の無料送迎が保障されるのが普通である。この送迎サービスの目的とするところは、高齢者がデイセンターや病院などに通え、そして自由に友人を訪問したり、他の積極的な社会参加を保障するところにある。ひいては、高齢者の社会からの孤立化を防ぐ、あるいは孤独老人を作り出さないという点においても重要な意味をもってくるものである。
95年の統計では、65歳以上の高齢者の約4分の1、43万人余りが送迎サービスの認定を受けている。そのうち半数以上が80歳以上の超高齢者であり、65〜79歳が約3分の1、65歳以下は17%であった。女性の利用が圧倒的に多く、65歳以上の利用者の75%を占めている。その理由としては、後期高齢者に女性が多いことや女性の自動車運転免許証所得者が少ないことがあげられる。
デイセンター:
成人の子どもとの同居率が数パーセントにしかすぎないスウェーデンでは、高齢者が家族と同居しているというと、夫婦のどちらかとの同居がほとんどである。それだけに、デイセンターでサービスされるデイサービスやデイケアは、自宅で生活する高齢者(単身または夫婦の)にとって、重要な意義をもっている。
デイセンターは、まずなによりも地域の人々の交流の場である。それは、高齢者の生活を活性化し、ホームヘルプサービスへの依存や特別な住まいへの入居を予防する役割をはたす。また、高齢者や障害者と一緒に生活する家族が休養をとることを可能にする。さらに、家族は自らの生活を犠牲にすることなく、介護・看護ニーズの高い痴呆性高齢者や障害者との生活を継続することができる。
デイセンターには、サービスハウスや老人ホームに併設されたものと独立したものと2種類がある。全国には約1,500ヵ所のデイセンターがあるが、そのうち500ヵ所が独立型である。併設型の利点は、職員やレストランなどの資源を共同で利用できる合理性と、サービスハウスなどの入居者と地域の高齢者との自然な交流が得られることなどである。また、行政側にとっては、地域の高齢者のニーズの把握も自然なかたちで行なうことができる。