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ホームヘルプサービス料金:

ホームヘルプサービス利用料金の大きさや算定方式は、保育料金と同様に各コミューンによって決定される。ただし、おおむね共通しているのは、所得比例料金方式をとり、算定する際には所得総額から家賃や食費などの生活費とそれ以外の個人的経費(月額はコミューンによって異なるが、1600〜1800クローネが平均的である)を差し引いた額を基礎とする。不足する分は、公的財源によって補助される。

さらに、低所得の有子家庭や年金生活者に対しては、家賃補助として住宅手当が支給される。エーデル改革によってナーシングホームなど従来医療施設であったものがコミューンに移管されて、「特別の住まい」となった結果、家賃が独立した項目として費用徴収の対象になり、食費や介護費用とは別扱いになったので、住宅手当のもつ意義は大きい。

以上のような原則にもとづいて利用料金が算定されるので、経済的な理由で必要なケアやサービスが受けられないということはまったくない。さらに、受けるサービスやケアの量が多くなれば、負担限度額が決められており、一定額以上は負担しなくてもよい仕組みになっている。したがって、ニーズが高い高齢者でも24時間を通したホームヘルプサービスや長期的通院治療や薬の購入が可能である。

現在の高齢者には国民基礎年金の受給資格しか持たない者がかなり存在するが、将来国民付加年金の受給者が増えて所得状態がよくなるため、現在のようなかたちでのサービス料金に対する公的負担は次第に軽減されるものと予測される。

 

(2) 安全アラーム・サービス(Trygghetsalarm)

 

なにかが起こったときに緊急通報用のベルを押すことによって、コミューンのホームヘルパーに即刻連絡がとれるシステムを安全アラーム・サービスと呼ぶ。サービスハウスのアラーム・ステーション(詰め所)に通報されるのが、普通である。コミューンにおいては総合して緊急通報センターを設けて専用の職員によって対応するところも多い。契約によって、緊急時の電話番号112に通報されて、夜間・深夜パトロールの援助を受けるシステムをとる場合もある。障害者でも簡単に通報出来るところから、最近は腕時計式のアラームが普及している。サービスハウスなどではその外、水洗トイレの水が24時間流されないと自動的に通報されるシステムも設けられている。独り住まいの高齢者でも、安全アラームが取り付けられていることで、安心して暮らせるという場合が多い。

 

 

 

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