90年代全体をみると、ホームヘルプサービスの利用者数および利用率はともに減少しているが、反面、1ヵ月に50時間以上在宅医療またはホームヘルプサービスを受ける者の割合は近年になって増加している(図17)。しかし、援助総時間の60%が利用者の5分の1に集中しているものと推測されることから、ニーズの高いグループの規模はそれほど大きくないといえる。1ヵ月に120時間以上の援助を受ける者の割合は、利用者全体の4%にすぎない。また、夜間・深夜ともに毎日援助を受けている者の割合は、95年11月現在で、利用者数の約4分の1であった(Socialstyrelsen・1996b)。
さらに、同時期、週末および祭日に援助を受けた者の割合は、利用者総数の約3分の1の強であった。ニーズの比較的高いグループに援助が集中されるようになった理由は、90年代前半の敗政危機に関連してとられた高齢者福祉サービスの「優先化」政策の結果によるものと推測される。なお、エーデル改革の結果、援助対象として介護・看護ニーズの高い高齢者が増加したことが明らかである。このことは、エーデル改革以後、ホームヘルプサービスの性格が「(家事援助)サービス」から「個人的介護」に変化してきていることを意味する。痴呆性高齢者の増加も、その変化を促す一因と思われる。
在宅医療の拡大は、ホームヘルパーに、一般的な介護知識からさらにより専門的な看護知識を要求するようになってきた。これらの変化にともなって、どのコミューンも准看護婦や精神看護士の資格をもつ人をホームヘルパーとして雇用するのが一般的になってきている。94年の統計では、約16万8900人が介護士(准看護婦や看護助手を含む)が、高齢者および障害者ケア分野で働いている(Socialstyrelsen・1996b)。その内の約半数がパートタイム勤務であり、20%強がフルタイム勤務であった。