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3) 民間委託運営によるナーシングホーム(privata sjukhem):宗教法人などの民間に運営を委託するが、財政は公共が負担するものである。長期療養患者の7%がこのタイプのナーシングホームでケアを受けている。

エーデル改革により、1992年1月1日からすべてのナーシングホームは、県コミューンからコミューンの行政責任に移行された。内容的には、高齢者はナーシングホームの『患者』から、ナーシングホームに『住むひと』になり、コミューンの社会委員会の下におかれ、医療責任はコミューンに雇用される看護婦が負うことになった。つまり、このことは純粋な医療ケアから、どちらかというと、『住まいを中心とした』ケアに変革されたことを意味する。今まで、老人ホームとナーシングホームの入居費用は行政管轄の違いにより異なったが、エーデル改革後、各コミューンにおいてその調整が行なわれ同じ算定方式がとられるようになった。

 

8. 在宅高齢者のためのサービス

 

高齢者の自立した生活を可能にするためのスウェーデンの在宅サービスは、一人暮らしの高齢者でも安心して暮らせる内容を誇り、非常にきめ細かい適応性のあるサービス・ネットワークが形成されている(図15を参照)。また地域の福祉ならびに医療資源の利用がセクト主義的ではなく、合理的に開放的に利用されるシステムがスウェーデンの特徴である。

 

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サービス内容と職員:

高齢者ケアの主要原則、『できるかぎり長く自分の家に住み続ける』、を実現可能にするには、多様なニーズに対応できる一連のサービスが必要になってくる。高齢者の身の回りの介護、掃除、洗濯、買物などの家事援助にあたるのが、コミューンの供給する、ホームヘルプ・サービスである。24時間供給体制(夜間・深夜パトロール)をとる。ホームヘルプ・サービスの供給は、最終的にニーズ認定を必要とするが、援助にあたっては高齢者の自立を大切にし、現存能力を喪失しないよう努力が行なわれている。一律の援助基準はなく、すべて個人のニーズ内容によってケース・バイ・ケースで決められる。ホームヘルプ・サービスとあわせて、足のケア、美容/理容サービス、配食サービス(ミールズ・オン・ウィールズ)、入浴サービス、除雪サービスなどもコミューンが提供している。

ホームヘルパーが、まったく独りで仕事を行なうという勤務形態は昔と違って、今

 

 

 

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