グループ住宅を運営していくにあたって、大切なものは、ケアの視点・思想である。グループ住宅の開設にあたって、実践されるべきケアの視点が充分に討議され、明確な確認が、すべての職員のなかでされているということが要求される。職員のすべてが老人性痴呆という病気に対して専門知識をもっているケア環境をつくりだすことは、入居する高齢者の医学的痴呆診断を必ず行なうことともに、一つの重要な前提である。これらの前提のうえにたって、各個人を尊重し、たえず適度な刺激を与えることによって個人が持っている健康な能力を引き出せるような、『クォリテイ・オブ・ライフ』のともなうケアが実践されなければならないとするものである。ここ数年、グループ住宅は強力に伸びてきたが、ケアの思想が明確な実践がされるならば、ケアの形態としては規模や内容的にも非常に好ましいものだという評価がされている。
グループ住宅の形態としては、サービスハウスなどに併設されたものもあれば、完全な独立型もある。集合住宅方式のものもあれば、一戸建てのヴィラ形式のものもあり様々である。併設型の長所は、デイセンターやレストランを共同利用できることや、他の高齢者との交流が可能なこと、さらに職員の共同利用ができることなどである。独立型は、独自の環境と家族的なまとまりがみられる反面、孤立しやすく、資源の共同利用や活動の場所が限られるという短所がある。最近では、「特別な住まい」として8〜10人規模のグループ・リビング式のユニットをいくつか造り、そのうちの1〜2ユニットを痴呆性高齢者専用の住宅にあてる方式も多い。この型の長所は、痴呆性高齢者のケアを隔離しないで行なえることや、深夜勤務の職員を全体で共同利用できることなどである。
(4) ナーシングホーム(Sjukhem)
ナーシングホームが対象とするのは、長期療養的なケアを必要とする人であり、それ故にホームの環境はなるべく家庭的な雰囲気を保てるよう考慮されている。1991年までは、ナーシングホームは三種類に分類されていた。
1) 病院付属ナーシングホーム(centrala sjukhem):普通、老人専門病棟に付属する形で設けられており、病院の「離れ」として機能する。
2) 地域ナーシングホーム(lokala sjukhem):病院に付属せず初期医療の管轄下におかれ、域保健・医療センターの地域医師が医療責任の中心となって運営される。