日本財団 図書館


5000人が何らかの「特別な住まい」において生活を営んでいる(表8を参照)。91年と比較すると、入居者は3万3000人増加している。エーデル改革によって、グループ住宅をはじめとする特別な住まいの拡充がなされたことが、主な背景をなしている。

サービスハウスは、一言で表現すれば、ホームヘルプサービスをはじめとする公共の諸々のサービスが併設された年金者用アパートである。サービスをどのくらい受けるかは、入居者のニーズによって異なる。なかには、年金者用アパートを必要とするだけで、まったくその他のサービスを受けない人もいる。

現在のサービスハウスの多くは1970年代から1980年代に建てられたもので、普通20〜100戸のアパートによって成り立っている。アパートは1〜3部屋と台所、バスルームによって構成されているが、2DKがその半分を占め最も一般的である。入居に関しては、「ニーズ認定」によって決められ、待機制はとらずニーズの最も高い人が優先される。ニーズの内容は、住宅が旧式で、機能の低下した高齢者の生活に、十分なスタンダートでないとか、一人暮らしが不安だとか、近いサービスが必要だとかさまざまであり、個人、個人によってケースが認定される。入居者は住宅会社と直接賃貸契約を行い、市場並みの家賃を支払うものである。
しかし、経済的に余裕がないから入れないというのではなく、ニーズさえあれば入居でき、家賃は、コミューンの住宅手当金によって援助される。また、他の在宅高齢者と同じように、ニーズがあればコミューンによるホームヘルプ・サービスを助成された安い料金で受けることが出来る。サービスハウスにはこの他、レストランによる食事サービス、デイセンターと呼ばれる余暇活動センター、足のケア室、美容室などの公共サービスが併設されている。これらのサービスは、まわりの地域に住む高齢者にも開放されているのが普通であり、サービスハウス内にはその地区のホームヘルプ・サービスのステーション(詰め所)が置かれることが多い。

 

045-1.gif

 

老人ホームで暮らす高齢者たちは、ホームヘルパーの援助がたとえあっても、自宅で住むことは難しく、福祉・医療ともに比較的ニーズの高くなった人たちである。しかしながら、一つの傾向として、1970年代には年金者用の住宅拡充に伴って、在宅高齢者が増加しはじめ、したがって老人ホームの床数も減少し、1980年代に入ると老人ホームの増加は完全に停止したことが指摘される。1990年以降老人ホームは、約2,000床減少したが、エーデル改革の影響を受けて、超高齢者のための住まいとして床数は再び増加の傾向にある。統計基準の変更のために、老人ホームだけの入居者数の集計はないが、91年の統計では合計約3万4500人が入居しており、8割以上が80歳以上の後期高齢者である(表10)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION