7. 高齢者の住まい
65歳以上のほとんどが、自宅に住む高齢者である(Socialstyreisen・1996b)。家やアパートを自分のものとして所有する高齢者は、総高齢者人口の半分である。スウェーデンの住宅のスタンダードはヨーロッパ諸国のなかでも、最も高いといわれる。ほとんどの高齢者が、お湯のでる台所、トイレ&バスルーム、全館暖房など近代的に完備された住宅に住んでいる。そのうえさらに、多くの人が長く住み続けられるように、特別のニーズにも対応した住宅提供がなされている。住宅の他に、日常生活に援助の必要な機能の低下した人に対しては、自立した生活を営む前提として、ホームヘルパーや補助器具サービスの供給が重要になってくる。障害を持った人が住宅を改造する必要がある場合は、かかる費用の全額あるいは大部分がコミューンから住宅改造資金として給付される。さらに復元が必要なときにはそのための資金もコミューンによって支払われる。
今日の高齢者単身世帯の住居の平均水準が2.6室(69平方メートル)、高齢者夫婦世帯のそれは3.5室(91平方メートル)である(Antman・1996)。また、88年の統計では、高齢者世帯でバス/シャワーの設備のないものが3.4%、冷凍庫のない世帯が8%であった。今日では、電子レンジ、冷蔵/凍庫、トイレ、下水、そしてお湯の出ない住宅に住むことはまず考えられない。現在の高齢者の住宅問題といえば、建築が古いためにエレベーターのない集合住宅(3階建て)を指すのが一般的である。