保健:医療財政:
スウェーデンの保健・医療経費は、94年では112兆クローネに達し、国民総生産(GNP)の7.8%を占める(表7)。人口高齢化率(約18%)が世界一高いことを考えると、国際的にみても経費は決して高くはない。GNPに対して医療経費が90年代前半低下したのは、効率化によるものというよりも、エーデル改革などによって長期医療サービスや知的障害者ケアが県コミューンからコミューンの社会サービスに移行させられたことによると考えた方が適切である。スウェーデンの保健・医療財政は他の北欧諸国と同様に、保険ではなく税金を財源として運営される。経費の75%(1995年)が県コミューンの財源によって賄われ、その大部分(74%)が地方所得税からの租税収入によるものである。県コミューンの地方所得税は、平均約10%である。とくに、国からの交付金が約10%、患者料金約4%が県コミューンの財源となる。経費の60%が身体的疾患の短期医療に使われている(図14)。